※※第224話:Make Love(&Internal).131
…――――――痛くて甘い、
愛すれば愛するほど、息もできない。
ゆらゆらと、ふわふわと、
浮かぶように沈んで、堕ちてゆく。
「……おい、」
ただいまホームルームの時間です。
2-1の教室にて、そら険しい雰囲気で教壇へと手を突いた薔は、有無を言わせぬ雰囲気で言い放った。
「お前ら頭大丈夫か?何でこんなもんにほとんど全員が挙手してんだよ。」
と。
ホームルームの時間は一変してまるで取り調べのようで、クラスメートたちはごくりと息を呑んだ。
でもやっぱり学園祭だし、皆でやりたいものをやりたいのでなるべくこぞって俯くようにした。
「暮中、君はこのクラスの学級委員長であって、独裁者というわけではないのだぞ?」
「あ?」
ここで、眼鏡をくいっとやった担任の醐留権が、端から彼をなだめに入った。
そもそも学級委員長が不本意すぎる薔の雰囲気は、さらに険しくなる。
「ところで、君は何がしたいんだ?」
「俺はメイドをやらされるナナのことが心配でそれどころじゃねえ。」
「まあ、気持ちはわからなくもないが(※彼女が同じクラス)……ここはいったん落ち着こう。」
ゾーラ先生は薔へと個人的に尋ねてみたが、やはり薔はメイド喫茶をやるナナのことが心配で仕方ないようだ。
こけしちゃんも同じくメイド役なので、醐留権も彼女のことが心配ではあったがここは教師なのでぐっと堪えていた。
「三咲のクラスがメイド喫茶をやるのであれば、このクラスが執事喫茶は妥当だと思わないのか?考えようによっては、ある意味お揃いだぞ?」
「………………。」
醐留権先生は“お揃い”とかいう魔法の言葉を持ち出してきたため、薔はちょっと雰囲気が険しくなくなった。
(すっごいこれ……萌える。)
ふたりのやりとりに、主に腐女子の皆さんはたいそうときめいた。
可能であれば動画に収めて、2-5の隊長に観せたいくらいだった。
そしてゾーラ先生の言葉によりわかったことは、2-1の学園祭の企画は多数決で執事喫茶に決定のようだ。
ちらほらと、メイド喫茶にも何人か挙手をしたが(羚亜含む)、やはり圧倒的に執事喫茶が人気だった。
「安心したまえ。私はこのクラスが優勝した暁には、校長に容赦なく自腹を切らせようと思っているよ。」
「あんたって相当、意地悪りぃな。」
「君にだけは、言われたくないのだが……」
未だに校長の好感度は醐留権のなかでは上昇していないようで、フフフと笑った担任の姿に薔は呆れ返った。
クラスメートたちは心底思った、このおふたりがいれば自分たちのクラスは無敵だと。
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