※※第211話:Make Love(&Sex aid).18
薔がじつにめんどくさそうに玄関のドアを開けると、そこには、
「あっ!薔くん!聞いてよ、大変なんだ!」
セーラー服姿の羚亜が立っていた。
バタン――――…!
「あれっ!?薔っ!?」
彼と一緒に玄関へと向かったナナは、目の前でいきなりものすごい勢いでドアが閉められびっくり仰天。
モニターで確認してあったために、薔は独断から羚亜のセーラー服姿を彼女には視界の隅にも見せないようにした。
「……とりあえず通報してもいいか?」
「やめてよ、俺これでも命からがら逃げてきたんだよ!」
とにかく引いている薔はスマホ(りんごのほう)を取り出し、羚亜は慌てて110番の阻止にかかる。
ふたりの美形男子は玄関のドアの前で、いささか揉めております。
「よくそんな恥ずかしい格好で自害することもなく公道を走って来られたな?」
「言わないで!思い出すと恥ずかしすぎて、穴があったら入りたいくらいなんだから!」
薔は呆れたように諭し、羚亜は真っ赤になってセーラー服のスカートを両手で掴んだ。
「入って来いよ、そこらへんで。」
「それより俺の話を聞いてよ!」
「めんどくせえ上にすげえ気持ち悪りぃな。」
「薔くん、ひどい!」
あんぐり、と口を開けている真依は彼氏の部屋の様子見に伺ったのだが、ドアノブを掴んだまままだしばらくこの場に立っていたかった。
(屡薇くんの本命さんと男の娘がなんか、痴話喧嘩してるーっ!イイモノ見れた!仕事がんばったあたしにまさかのご褒美か!?)
ハァハァと息を荒げそうになるのを必死に抑え、屡薇のズバリ彼女こと真依はあのときの山ボーイは男の娘だったのか!と凝視したくて堪らなかった。
むしろ、ふたりの有り様を連写させてもらいたいというか、願わくは動画に収めさせてもらいたい。
ちなみに、痴話喧嘩はいっさい繰り広げられておりません。
元祖こけし姉さんにしても真依にしても、彼氏の本命はやたらと薔にしたがるのだな。
(初めて見た……男同士の痴話喧嘩……と男の娘の生脚、たまらん……先輩はいつもこういうのを拝めてるのか、いいなあ〜……)
うっとりとこけしちゃんを羨ましがる真依は知る由もない、先輩はこの姿をまだ一目も拝めていないということを。
おまけに入手困難に陥っているということを。
(穴に入るってもう、ダイレクトすぎるしっ!なんなのそれ!)
涎を垂らしそうになりながらも幸いなことに未だ存在に気づかれていない真依は、見続けていたい自分を奮い立たせて彼氏の部屋へと入って行った。
彼氏の部屋をお掃除しながら妄想は続ける予定です。
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