※※第181話:Make Love(in Landing).104








 昨日は一日、帰宅をしなかった屡薇は、鼻歌混じりに彼女との待ち合わせ場所へと向かっていた。
 抱えたギターは軽く、足取りも軽い。
 夜空に煌々と輝く月は、同じ速度で歩いてくれている。
 いくら眩しく輝いていれども、ネオンには決して真似できないお月様の必殺技だ。






 下心がもちろんある屡薇は、わざとマンションの近くを待ち合わせ場所に指定していた。
 変なテンションで死なないためにも、ここはどうしても彼女のすべてに触れておく必要がある。


 待ち合わせ場所へと辿り着いた屡薇は、真依の姿を目にしたとたん笑顔で明るく手を振ってみせた。

 「真依さーん!」








 カラフルな風船が可愛らしいランチトートを下げ、手を振る彼氏に気づいた真依は手を振り返すこともせず、

 じっとり…

 とした視線を送ってきているように思えてならない。



 「真依さん?どうしたの?」
 そろりそろりと手を下ろしていった屡薇は、恐る恐る尋ねてみた。

 「べつに、何でもない!」
 真依はプイッと顔を逸らす。
 顔を逸らしたことでよくわかってしまったのだが、彼女の耳は赤くなっていた。




 「……怒ってんの?」
 その様子に笑いを堪え、面白がっている屡薇はわざと、逸らしたほうへと回り込み真依の顔を覗き込んだ。

 「すっげー可愛くて俺、困るんだけど。」
 「はぁぁぁあ!?」
 真依はあからさまに、真っ赤となりました。
 屡薇の悪戯心はますますくすぐられる。





 「もういい!行くよ!?」
 赤面したまま、真依は率先して、彼のマンションへと向かって歩きだす。

 「わお、真依さん、大胆だね。」
 歩きだした屡薇は笑いながら、彼女をからかう。


 「ちょっと黙っててくれる!?」
 「ちょっとってどのくらい?1分?2分?3分?5分?」
 「あーもう、うるさい!4分はどこいったの!?」

 いつの間にかふたりは、夜道を並んで同じ速度で歩いておりました。









 ここで、期待に何かしらが膨らむ夜の様子は次話へと持ち越すことにいたします!















  …――Surely,love get wet.

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