※※第155話:Make Love(&Sex aid).9
舌先で、胸を突き刺し、
誰も触れないよう、唇で、痕を。
蜜が溢れだす、柔らかな果肉、
「触れたい…触れてもいい?」
…――――Are you satisfactory only by touching?
レジャーランドをめいっぱい(かなりセックスで)楽しんできた日の夜のこと。
「あれ!?」
花子の導きにより音楽チャンネルなるものを観ていたナナは、急いで傍らの豆を抱き上げると言ったのです。
「まめちゃんのご主人様がテレビに出てるよーっ!?」
と。
「おい、」
すかさず対面式キッチンからは、たいそうご機嫌ななめな声が。
「あいつに対してご主人様とか言うんじゃねぇよ。」
「で、でしたら、何と言えばよろしいでしょうか?」
キョトンの豆を抱いたまんま、息を呑んだナナが尋ねてみると、
「心の隙間を埋めてやってる奴とでも言っとけ。」
薔は堂々と返してきたのだ。
「かしこまりましたーっ!」
シャキッと応えたナナは、すぐさま改めた。
「えっと、まめちゃんがこころのすきまをうめてやってるやつが、テレビに出てるよーっ!?」
「ワンッ♪」
“ウフフ、ヤキモチですね、ご主人さまったら…”
優雅にソファへ寄り添う花子は、ゆったりと尻尾を振っている。
言い直させた薔は、ちょっと面白かったこともあり平然と夕食の支度へと取りかかった。
屡薇が所属するバンドことFeaRの皆さんは、新曲PRコメントのために出演していたようで、
「あああああああ!」
突然、豆を抱いたまんまガバッと立ち上がったナナは雄叫びを上げたのである。
「花子ちゃん!ご主人さまがテレビに出てるよ――――――――――っ!?」
おーっ、ぉーっ…(※大興奮も大興奮のエコー)
コメントの後にはもちろんPVも流れましたので、
「ワンッ(※素敵すぎます)♪」
「か〜わいいね――――――――――っ!」
はしゃぐ乙女たちにつられてか、豆もぴこぴこ尻尾を振っております。
「こっんなに可愛すぎるしきれいすぎるのに、ご主人さまなんだよーっ!?」
「ワンッ♪」
…とまあこんな風に、いたって和やかではございますが、
お気づきだろうか?
ナナはどさくさに紛れてかさりげなくか、薔のことを二度も“ご主人様”と呼んでいるということに!
ちゃっかり得意技が披露されたところで、
ピンポーン
チャイムが鳴った。
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