※※第144話:Make Love(&Agreeable).79







 少し眠ってから、目を覚ましてしまったようだ。

 ナナは黙って、薔の寝顔を再び見つめてから、

 「ん……、トイレ…」

 へと向かったんです。













 用を済ませてからの洗面所にて、

 (あわわわわ!またいっぱいつけられちゃったよーっ!)

 と、真っ赤っかになっていると、

 「……んんん?」

 玄関のほうで、微かな物音がした。



 「まっ、まさか、幽霊…!?」
 ヴァンパイアですが幽霊に怯えながら、そろりそろり玄関へと向かったナナさんは、

 「これかな?」

 一枚の紙を拾い上げたのだ。







 「――――――――――…!?」

 そして、驚愕した。






 そこには、拘束された彦一の写真と共に、

 “来なかったら、明日には殺るよ。”

 とだけ書かれていたのだ。







 「この人、薔の従兄弟だって言ってた…」

 ナナはすぐにそのことが、思い出せて、

 ガチャ――――…

 ドアを開け走り出したのだ。













 「なんでこんなことを、するのっ…!?」

 ひしひしと、沸き上がる怒り。

 まだそう遠くへは、行っていないと思われたため、階段を駆け下りようとしたナナは、

 ガンッ――――…!

 後ろから、あたまを強く殴られ意識を失った。











 「手荒な真似をしてすみません、あなたが来てくだされば、彦一様は解放されますので…」

 スーツの男は、気絶したナナの体を抱え、階段を下りてゆく。







 ヒラリッ…

 手から舞い落ちた脅迫状は、もはや意味を成しておらず。




 夜の帳を引き裂く、遠吠えが、聞こえた気がした。














 …――Is the heart addicted to avarice?

  Or is it addicted to love?

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