※※第143話:Make Love(&Sex aid).7






 「……っ、は…ぁっ、」

 舌を抜きながらくちびるを離してゆくと、

 トロォッ…

 糸を引いた、唾液は垂れ。




 「も…っ、イくぅ…っ、イっちゃ…っ、」

 ぎゅっ…

 ナナは薔へとしがみつく。



 ふるえる熱い躰を、つよく抱き返し、

 「イきながら全部、受け止めろよ?俺ももう、イく…」

 吐息混じりに、彼は告げて。





 やがて、

 「あっ…ああああぁぁっっん!」
 「……っ!」

 ふたりはほぼ同時に、絶頂を得た。




 ドクドクと、子宮目掛けて脈打ち、精液は熱く注ぎ込まれる。


 「はぁっ、はぁっ、」
 動きはずっと、互いを求めて止まず、

 「もっとおまえの唇、寄越せ…」
 「ん…っ、ああっっ、」

 再びくちびるは、奪われたのだった。

 ちゅくっ…






 「ふ…っ、ん、ん…っ、」

 グッ、グッ、グチュッッ…

 混ざりあう液は、泡立ち、溢れてくる。

 だからもっと、欲しがる中は、奥まで彼を吸い寄せる。





 ずっと、こうしていたかった、

 繋がれば、ふたりでひとつ。

















 ――――――――…

 今夜は夕月とディナーでございますので、セックスの後はきちんとシャワーを浴びたりしたのですな。



 ピンポーン

 そしてお迎えは、やって来た模様です。




 「あっ、夕月さんですね!」
 めかし込んだりは特にしていないナナは、玄関へといそいそと駆けていきました。


 時刻は、19時より10分ほど前。

 このとき薔はとっさに、とてつもない違和感を覚えた。







 「ナナ…?」
 彼は駆け出す。

 そのとき、奥の部屋から花子が飛び出す音がした。














 ガチャ――――…

 ナナがドアを開けると、そこに立っていた人物は男なのか女なのかすら窺えないような格好をしていた。

 何かがおかしいと、彼女が思うより早く、

 グイッ――――…!

 ナナは強引に、中へと引き戻されていた。






 次の瞬間、

 ドッッ――――…

 鈍い衝撃のようなものが、走る音が、聞こえて。





 「う…わ…!」

 その人物は、怯えるように呻いたため、声で男なのだとかろうじてわかった。

 直後に、男は背を向け一目散に走り出した。







 「な、何があったんですか!?」
 急いで振り向いたナナは、

 青ざめ、愕然としたのだ。













 玄関が、ところどころ赤く染まっている。



 ポタ…ッ…

 その鮮やかな血は、一目で彼のものと、わかって、

 「何で、今頃、おまえが…」

 フッ――…

 薔の躰はバランスを崩した。







 「薔っ!」

 ナナは駆け寄り、彼を支える。


 腹部に深く突き刺さったナイフは、未だにじわじわと血の赤を広げている。

 ただ見つめる花子の瞳は、まるで泣いているかのようであった。








 「うわあああああ――――――――――っっ!!!!」

 ナナの悲痛に満ちた泣き叫びが、あまりにも痛々しく響き渡る。








 何の前触れもなく、悪夢は、やって来た。
















  …――The blood is so red that it's fearful.

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