※※第118話:Make Love(&Relish).60
『おめでとうございます。』
息子受け、もとい秘書・小早川くんの手により、無事に賞品は薔へと手渡されようとした。
すると、
「小早川くん、小早川くん、」
『はい、』
彼の立派なスーツをクイクイと引っ張って、脂肪の塊、もとい社長さんは言ったんです。
「仮に29種類、全部当たったとしてもなんだか申し訳なかったんで直接伺いました、を付け足してくれないとっ!」
「も、申し訳ございません…」
社長に謝罪をした小早川くんは、すぐに前を向いて改まった。
『仮に29種類、全部当たったとしてもなんだか申し訳なかったので……』
ちなみに社長は、小早川くんのスーツを掴んだまんまです。
「近場だったから、も付け足してね!」
『かしこまりました、近場だったため直接伺いました。』
これにて無事、賞品は授与されるかと思われた。
ところが、
「小早川くん、小早川くん、」
またしても社長の、邪魔が。
…………青コーナー社長、鬱陶しいな。
ほとんどの皆さんは、そう思っている。
「………………。」
薔の呆れ具合も、相当。
「予算の関係でお蔵入りとなった、幻のゴールデンザザえもんバスタオルも入ってますよ、を忘れちゃ困るなぁ。」
『も、申し訳ございません…』
もはや小早川くんは、社長のほうを見るのも面倒くさいんだけど、
「…いっこうに進まねぇな、」
とうとう口を開いた薔が、
ひょいっ
段ボール箱を軽々と、奪い取っちゃったのだ。
呆気にとられる社長と小早川くんに向かって、
「ありがとな。」
不敵に微笑み掛けると、薔は堂々とステージを降りてゆきました。
「おめでとうございま――――――――――す!!!!」
体育館中に、祝福の喝采が。
そんでもって、
どすん…
段ボール箱は列をかき分け、感涙にむせていたナナの前へと。
ゴクリ…
体育館は一気に、静まり返る。
事態がうまく呑み込めていないナナは、ポカーンとし、
「よかったな、」
こいつ可愛いなとか思いながら、薔ははっきりと言いました。
「これ全部、おまえのだぞ?」
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