※※第99話:Make Love(&Make Love!).2







 そして、清々しいけど寒い朝。

 とある高校の、生徒会室にて。



 「しっかしおれら、廊下歩いてても全然声掛けられねーんだけど、」
 朝から愚痴る、わりと筋肉質な生徒会長。

 「ほんとですね、本来なら我々は、もっと黄色い声援を掛けられてもよろしいのでは?」
 わりと生真面目そうな副会長は、会長に賛同した。



 「でもやっぱ今は、少女漫画の生徒会長もほとんど設定ドSだし、おれが声掛けられるわけないのかもなぁ、」
 「会長は少女漫画を、たしなむのですか?」
 「ちょっとだけね。」

 おわかりいただけているかもしれませんが、生徒会室には会長と副会長のふたりしかおりません。

 「いっそ、おれとお前で噂になって、腐女子からの注目を浴びとく?」
 「会長はBLも、お読みになられるのですか?」
 「ちょっとだけね。」





 このグダグダ感は、一体いつになったら拭い去られるんだろう?というなか、

 「ここは会長も、ドSになってみてはいかがでしょうか?」
 ふと、副会長くんが、こんなことを提案してきたのだ。


 「無理だって、第一おれ、漫画ではしょっちゅう読んでるけど、ドSとかよくわかんねーもん…」
 本当はしょっちゅう読んでるんだね?な会長くんは、即諦めようとした。



 「とりあえず、エッチのとき女の子を、ことごとく淫乱呼ばわりしていればよろしいんじゃないでしょうか?」
 「そうなの?」

 ……いや、それ、頭の悪い言葉責めの、典型的なやつだよ。








 こんな風に、グダグダ感満載の生徒会室でしたが、


 ガラッ――――…


 突然、前方のドアが勢いよく開けられたのだ。




 はっ!とした会長と副会長は、ドアへ目をやってから、

 (えええ!?なんか、黄色い声援独り占めのひとが、やって来たんだけど!)

 たいそうびっくり仰天した。




 「かっ、会長…!ここは彼に、ドSについて詳しく教えていただいては…!?」
 「無理だって…!そんな質問、どう切り出すべきかよくわかんねーもん…!」
 などと、ふたりが非常にコッソコソと話していると、


 「おい、」

 ………………はい?

 黄色い声援独り占めのひとが、堂々と声を掛けてきた。





 唖然とする会長と副会長を、半ば見下ろし、

 「オマエらに頼みてぇことがある。」

 有無を言わせぬ雰囲気で、薔は言い放ったのでした。






 会長くんと副会長くんは、悟った。


 ……うわぁ、

 この、ナチュラルすぎる上から目線、

 おれ(ぼく)らには、無理だわ!








 さて、薔がわざわざ生徒会室に足を運んでまでして、

 彼らに頼みたかった(命じたかった?)その、内容とは!?















 …――It's surely for her!

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