Love of Death


針で刺した
蝶を眺めて
嬉しそうに楽しそうに
微笑むあなた

いつの間にか
わたしのことも
そんな風に殺めて
微笑むのでしょう

優しさが痛くて
怖い
動けない愛情

月の光が差し込む部屋で
抱き合った
魂のないカラダ
あなたの瞳
覗けばそこに
ちからなきわたしは映らない


爪を剥いで
肌を剥いて
紅くなった白いシーツ
無情に美しい

息もできない
熱帯夜は
干からびてゆく心
凍えてしまいそう

いつか視た
ふたりの未来
過去よりも残酷

伸ばした手には
触れるものなく
こんなにも近くにいるけれど
あなたはきっと
遠い幻
わたしの愛は返ることもない


儚き灯火
何もかも
吐息がさらう

他の誰にも
できない罪で
この命を
途絶えさせてほしい


月の光が差し込む部屋で
横たわる
ベッドの上乱れ
だけどわたしは
血まみれのキス
目を閉じて
あなたの名を呼んだ

悲しいくらい
愛していたよ
あなただけずっと
愛している
けれどもここで
さよならだよね
そろそろ意識が途切れてきた

「愛している…」
言い終えないうちに
わたしをそっと
死が包んでいった

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