※第53話:Love(+Palpitation).39
ようやく、長かった夏休みが明け、新学期のスタートです!
初っ端から、ドラマティックに、ときめいてみるかい?
『…Are you ready?』
「おはよぉうぅ、ナナちゃぁん。」
「おはよう!こけしちゃん!」
新学期、登校初日、ナナとこけしちゃんは朝からハグで、あつき朝の挨拶を交わしていた。
しかも、ナナが席に着く直前の位置にて。
「ナナちゃぁん、すごぉぉくぅ、会いたかったけどぉ、そんなにお久しぶりな感じが、しないのねぇぇ。」
「そうなんだよね!こけしちゃん!でも今日からまた、土日以外はほぼ毎日会えるよ!」
「そぉぉなのぉ。」
キャッキャとはしゃいでいるふたりの会話は、周りにも丸聞こえであります。
「あのねぇぇ、ナナちゃぁん。今度ねぇ、ゴルゴンゾーラの18禁が手に入ったからぁ、貸してあげるねぇぇ。」
「えっ?いいの!?」
喜び勇むナナよ、18禁については、ダメもとで辞書引いてみたのか?
「もちろんぅ。カマンベール王子が陵辱されちゃうヤツだからぁぁ、すごぉぉく、萌えるからねぇ。」
にっこりとオススメするこけしちゃんで、相変わらずチーズであるのだが、
「“りょうじょく”ってなんですかな!?辞書引けばいいかな!?」
驚きのナナは、けっこう声を張り上げた。
ナナさん、それなら、隣のひとが体感させてくれるよ?きっと。
「ナナちゃぁんはほんとぉにぃ、辞書が好きねぇぇ。見習うぅ。」
「ぇえ?」
キョトンとするナナの前、こけしちゃんはコロコロと笑っているが、ナナが好きなのは辞書自体と言うより辞書をここぞという時に言葉で活用させるひとである。
ややこしい。
「じゃあぁ、ナナちゃぁん。もうすぐホームルームだからぁ、あたし席に着いて禁断のイラスト描くねぇぇ。」
「うん!いろいろ描いて、また見せてね!」
ナナは何事もなく流したが、こけしちゃんの禁断イラストについては、気になるところである、かもしれない。
「またねぇぇ。」
「うん!また後でね!」
おっとりにっこりと手を振って、こけしちゃんは席へと戻っていった。
「おい、おまえは、なにを叫んでんだ?」
「ぎゃあ!なんのことですか!?」
やはり、隣の席なので薔にもしっかり聞こえいたが、ナナには何のことだかさっぱりわかっていなかった。
これでは、辞書を引くことすらないんだろうね。
ちなみに、本格的な登校がまた始まったこともあり、ギャラリーの皆さんにはめちゃくちゃ気合いが入っている。
「知りてーなら、教えてやるか?」
「えええ!?」
そして、このときふたりは、いきなりの急接近だったので、
バタ――――――――ン
ギャラリーさんは、悶え死にを垣間見た。
「ちちちち近いですってーっ!」
「あ?」
そんでもって、肝心のナナと薔はふたりっきりの世界におった。
ふるふる……
(新学期早々、このクラスには、なにが起きてるの!?)
禁断のイラストを描き続けるこけしちゃん以外のクラスメートは、真っ赤で震撼していたんだとさ。
やがて悶え死にから帰還したギャラリーの皆さんは、頃合いを見て渋々と教室に戻っていきました。
キーンコーン――――…
ガラッ
「よお、みんな、元気にしてたかぁ?」
鼻歌混じりに、いささか日焼けした吉川が入ってきて、いよいよホームルームは始まっちゃう模様です!
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