※※第87話:Make Love(+Reward).34
一日目の仕事を無事に終え、いったん帰ってからまた迎えに来た薔と、手を繋いでナナは夜道を歩いておりました。
「やっぱり11月ともなれば、寒いものですねっ、」
「帰ったら、あたためてやる、」
「えええ!?」
寒さにより鼻だけ赤かったナナの顔は、瞬時に真っ赤になって。
「おまえ、レジは打てるようになったのか?」
「あっ!もう大丈夫です!たぶんですけど!」
星がちらほらと、煌めく夜空の下、ふたりして歩いていると寒さなんてへっちゃらなのでした。
――――――――…
「ハニー、ただいまぁ!」
珍しくか、残業をしてきたナナ父は、廊下へスイスイとクイックルワイパーを走らせていた、妻へと明るい声を掛けた。
「あら、雅之、おかえりなさい。お疲れさま。」
クイックルワイパーを持ったまんま、片手を腰に当て、労いの言葉を返す、ナナ母。
「こんな時間に掃除なんかして、どうしたんだい?ハニー、」
目をぱちくりさせ、靴を脱いだ夫は尋ね、
「それがね、ハリーさんが散歩から帰ってからずっと様子がおかしいものだから、鬱陶しくてリビングにいられないのよ。」
妻は特にどうということもなく、返したのでした。
「ハリーが?一体何があったんだ?」
はてなマークを浮かべ、ナナ父はリビングへと向かった。
リビングでは、ソファに腰掛けたハリーが、窓の外を見つめるかのようにレースのカーテンへ目をやりながら、
「HA〜、」
溜め息をついていた。
「ハリー、何かあったの?」
「HAA〜、」
…ちょっ、ハリー、その溜め息なんだか、鬱陶しいよ!?
「ハリー!?一体何があったんだい!?」
勢いよく、ナナ父がソファの前へと回り込むと、
「OH〜、マサ〜、」
いつもの胡散臭さはどこへやら、憂いを帯びた表情で、泣きそうなハリーはふるえながら告げたのでした。
「ワタクシ〜、ニッポンの女性ぬぃ、恋し〜、告白してしまいマシタ〜、」
と。
「日本の女性縫う、鯉こく…?」
キョトンとする、ナナ父。
「ハリー、言ってることの意味がよく、わからないんだけど、」
「HAAA〜、」
…これではもう、らちが明かないため、
ナナ母の来援、求む!
…―Age is not related to love!
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