※第72話:Love(&October).46
さて、それでは、10月の最終日に向けて、
ちょっとした計画を、始動させちゃいましょうか!
…Are you ready?
――――――――――…
川口さんはご丁寧にも記憶をすり替えもしたようでして、キスと微笑みの記憶が夢の話として残った以外は、皆さん特に何てことなく平穏に過ごしておりました。
こけしちゃんと醐留権先生は、バッチリ覚えていたけどね。
羚亜もヴァンパイアだから、否応なしに覚えておったし。
校長室、にて。
「はぁ〜、」
校長先生は、溜め息をついて言った。
「今更ながら芸術の秋だね〜。エッチなティーンズ・ラブが、読みたくなっちゃったよコレ〜。」
「あぁ〜、こないだ、薔くんとナナさんがちゅうしてる夢を見てから〜、ティーンズ・ラブが読みたくて仕方ないんだよね〜。」
そして、ほっぺたをさくら色にしてソワソワする校長は、
「でも〜、どうせ夢なんだから〜、薔くんの相手は校長先生が良かったよ〜?」
と、誰かが聞いたらまず聞かなかったことにしたくなるセリフを、付け足したのでした。
…―――細宮、お前もか!
そんなこんなで、至って平和なとある金曜日の放課後。
「ナナちゃぁん、」
ニコニコとこけしちゃんが、ナナを手招きしました。
「何かな?こけしちゃん、」
ナナが駆け寄ってゆくと、
「はぁいぃ、これねぇ、完成したよぉぉ?」
にっこりとこけしちゃんは、“例の”ノートを手渡したのです。
(うはぁ!)
ナナさんは、内面のテンションが急上昇した。
「ありがとう!こけしちゃん、ほんとうにありがとうっ!」
「いいぃえぇ、楽しく書けたからぁぁ、また依頼してねぇ?」
ちょいホロリのナナさんの前、にっこにこのこけしちゃんは、
「じゃあぁ、ナナちゃぁん、あたし部活に行ってくるからぁぁ、また月曜日にねぇぇ。」
そのにっこにこのまんま、部活へと繰り出していきましたとさ。
「行ってらっしゃい!こけしちゃん!また月曜日にね!」
ナナも、こけしちゃんほどではないがニコニコと、親友を送り出したのでした。
「………………、」
「あれ?薔くん、何か、機嫌悪いの?」
ちょいちょい行われている密やかなノートの交換が、どうやら薔も怪しいと気づき始めたようです。
…――ナナさん、気をつけて!
[ 293/543 ][前へ] [次へ]
[ページを選ぶ]
[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]
戻る