※第65話:Love!(+Oath).43









 前回に引き続いての、

 ホームルームです!


 「暮中!」
 吉川は、元気な声を薔へと掛けた。

 「あ?」
 それまでずっとナナを見ていた薔が、ようやく吉川を見る。


 そして、吉川は言ったのでした。

 「もちろん、出てくれるよな?クラス対抗リレー!」








 「なんで俺なんだ?」


 …ええええええ!?

 先生、このくだりがすんなりいくようにと、さっきあんな回りくどいことわざわざ言ったのに!


 ぶるぶると震える、吉川とけっこうな皆さん。



 「い、いや、暮中よ、さっき先生わざわざ言ったんだけど、お前がこの学年で一番足速いんだよなぁ。」
 「だれが勝手に決めてもいいと言った?」


 …いや、これ、決めたんじゃなくて、

 結果だから!





 「もっと速ぇヤツ、他にいんだろ?」

 …いないから君にお願いしてるんだよ!?





 吉川は震えながら、

 (うううん、これではらちがあかない!ただ一人、暮中が願いを聞いてくれそうな子は、)

 キラーン

 (三咲だ!)

 ナナを見た。





 ……………はっ!

 としたナナは、このときようやく吉川を見た。



 頼むよ三咲、なんかお前ならではの巧いことでも言って、暮中を説得してくれよ、

 と、吉川は視線で訴えている。




 「しょ、薔っ、」
 「なんだ?」
 ナナは冷や汗をかきながら、既に自分を見ていた彼へと言いました。

 「吉川先生が、薔が出ないならわたしに出ろと言っております…」




 ……いや言ってないよ!

 そもそも、男女別だし!





 「そうなのか?」
 「どうしましょう…、わたし、そんなに速く走れないです…」
 もはやナナが泣き出しそうであるため、

 「おい、吉川、」

 薔はちょっと凄んで、言い放ったのでした。

 「こいつはだめだ、俺が出てやる。」



 やったぁ――――――――――――っ!

 ※吉川先生とけっこうな皆さん、こころで万歳!







 結果オーライだった。

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