※※第59話:Make Love(&Deep Red).14









 繋いだ手はあたたかい。

 暗闇を抜けよう、
 あなたと共に、


 わたしはここにいる。




 ...Madness will be divided mutually.



 『…――それは過去が影を落とした、悲劇の幕開けだった。』












 「ナナちゃぁん、おはよぉうぅ。」
 朝からニコニコが絶好調のこけしちゃんは、机に向かってやってきたナナに朝のご挨拶。

 「こけしちゃーん!おはよう!かわいすぎるってーっ!」
 「エヘヘぇ。」
 ふたりのテンションは、急上昇中である。




 「あ、あのさ、薔くん…、」
 「なんだ?」
 そんでもって、互いに自身の席にて、薔と羚亜も熱きやりとりを始めたようだ。

 「ちょっと、教えてほしいことが、あるんだけど…、」
 もじもじする、羚亜。
 「内容によっては、教えてやってもいーぞ?」
 ほぼ席にふんぞり返って、堂々と返した、薔。


 そして、羚亜は尋ねました。

 「あの…、女の子とのエッチって、どうやればいいの…?」

 ってね。



 「なんで俺に聞くんだ?眼鏡に聞けよ。」
 あだ名は眼鏡で決定なのか、とにかく薔は呆れておる。
 「いや、いかにも、いろいろ知ってそうだから…、」
 相も変わらず羚亜は、もじもじ中である。

 「ふーん、」
 薔は特になんてこともなく、
 「ならお前、耳貸せ。」
 と言ったんですな。


 「えっ?うん、」
 羚亜は了解しちゃいましたので、またしても、薔の耳打ちは始まったようだ。



 バタ―――――――ン

 新しい扉を開けちゃったのか、ほとんどの皆さんが卒倒した。


 (あぁぁ、どぉぉしようぅ?)
 こけしちゃんの複雑具合は、ハンパない。

 「どうしたの?こけしちゃん、」
 ナナからこの禁断チックな光景は、窺えないため、
 「ナナちゃぁん、今はあたしを、ガン見するくらい見ててぇ。」
 にっこりとこけしちゃんは、こう提案した。


 「“がんみ”って何かな!?うん、見てる!」
 「エヘヘぇぇ。」
 やはりこけしちゃんは、親友の素直さに胸を撫で下ろした。




 「ええっ!?そんなすごいこと、出来ないよ!」
 「何言ってんだ?ほんの序の口だぞ?」

 羚亜くん、ここはまず、眼鏡に聞いたほうが良かったのかもしれないよ。










 しかし、とても穏やかな日常には、異様な悪意が潜みつつあった。


 「えええ!?吉川先生、それで大丈夫だったんですか!?」
 昨夜の恐ろしい出来事を吉川から明かされた先生方は、驚愕している。
 「そうなんですよ!だってソイツ、いざとなったら地面に鉄パイプ振り落として、逃げちゃいましたから!」
 幸いにも無傷だった吉川は、笑っておる。



 そのとき、吉川は口にした。

 「きっとソイツ、誰かと勘違いしたんじゃないですかね?ボクのクラスに、“ソウ”って名前の子はいませんから!」

 と。



 「それ以前に、この学校自体に、ソウという名前の子は一人もおりませんよ。」
 先生方は、憤慨している。

 「頭おかしいヤツだったのかもしれません!まだ9月にもなってないというのに、“緑色のコート”を着てましたからね!」
 更に吉川は、こんなことを明かした。



 「怖いですねぇ…、しかし、被害もなかったことですし、そんなことを生徒らに話して、混乱させてしまうのはいかがなものかと、」
 なんだかんだで、ため息混じりの先生方。




 「…………………、」
 吉川の話を聞きながら、醐留権だけがひどく真剣な表情で、何かを考え込んでいた。

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