※※第58話:Make Love(+Liquor!).13








 本日は、お父さんの、お誕生日ということですが、

 どうしたものか、

 わたしのあたまのなかは、

 あなたのことでいっぱいです!










 朝です!

 さて、昨夜の様子は、ご想像にお任せしちゃいたいと思います!




 「んあ………?」
 なんだか暑苦しくて、ナナはおもむろに目を覚ました。

 「あれ……?」
 暑苦しさの原因は、彼女のみが身に纏っている毛布やなんかでした。


 (はわわぁ!なぜにわたしばかりが、くるまれてるのだぁ!?)

 いや、そもそも、わたし、くるまれるなら……


 とか思ったナナは、ちょい身動きとれない状態から脱出し、隣を見た。

 すると……、




 なんと、薔は、いつぞやのザザえもんを抱きしめ、静かに眠っていたのだ。




 (ぎゃあああああっ!かわいすぎてどうしよう―――――――――っ!?)

 朝からナナさんは、色々が限界寸前。


 (あわわわぁ!昨日、このひとがお風呂の最中に抱いてたら、出てらした途端引っ剥がされたザザえもんが、なぜか今ではこのひとに抱きしめられてるよぉ!)
 真っ赤で、ぶるぶるとふるえるナナ。

 (確かに、そこに置いたのに!)
 と思いながら、彼女はナイトテーブルへと目をやった。


 ザザえもんは自ら、飛び込んだんじゃないのか?




 (きききき記念に、写真撮りたい!お写真を!)
 大絶賛赤面中のナナは、キョロキョロしてみた。

 (はわぁ!)
 そして彼女は、自分の(というと語弊があるのかもしれない)携帯電話を発見した。
 それはまさしく、ナイトテーブルの上に。


 (た、確かこちら、カメラも付いてるって教えていただいたよ!今こそ生かすべき機能だよ!)
 テンションが急上昇中のナナは、身をかがめナイトテーブルへと右手を伸ばした。

 ちなみにナイトテーブルは、薔が眠っている側の後ろに付いております。


 (もっ、もうちょっと…!)
 必死で手を伸ばすナナの胸は、既にちょっとだけ当たっております。


 「…………………、」
 えーと、ナナよ、下を見てみたほうがいいよ。
 一刻も早く。



 (おおおっ…!やっと取れた!)
 一刻とか気にもしなかったナナは、ようやく携帯電話を手にした。



 (でも、どうやって撮るんだったっ)
 け?とか思案しながら元の位置へ戻ると、

 「…………………、」

 既に目を覚ましていた薔が、ぼんやりと彼女を見上げていた。



 (えええええ!?起きてらっしゃる―――――――――っ!)
 慌てまくる、ナナ。


 「…………………、」
 薔はぼーっと黙ったまんま、いったん抱いているザザえもんへと目を落とした。



 (はうあ!このパターンは!)
 閃いたナナだったが、


 ぼてんっ!


 ザザえもんは見事なまでに勢いよく、後ろへと放り投げられた。



 (ザザえも―――――――ん!)

 …おーん、…ぉーん(※エコー)




 ぎゅっ

 ザザえもんの名をこころで叫んだナナさんは、手を伸ばす間もなくパジャマの裾を掴まれた。

 ………はっ!!

 として下を見ると、

 「…………………、」

 伸ばした手で少しパジャマを引っ張り、瞳を細め、薔は何も言わずに彼女を見上げております。



 (こっ、“来い”っておっしゃってますよね?)
 キュンキュンすること必至のナナは、

 (ザザえもん、ごめんね!)

 とりあえず内面謝罪してから、

 もぞもぞっ

 と、薔に寄り添いました。



 ふわん

 と抱きしめてから、薔は再び眠りに就いたご様子です。


 (わたし、気絶しなかったよーっ!いい匂いだよ、もうっ!)
 朝っぱらから、大感動のナナなのでした。







 ……いいよ、

 おいらには、ピノ太くんがいるから。

 それに、辿っていくとね、放り投げたの、釣ってくれたひとだしさ。



 ザザえもんはおそらくこんなことを言っておるのだろうと、思いたいところである。

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