※※第56話:Make Love(+Dramatic).12






 抜くとやはり滴って、混ざり合い、溢れかえっている。

 「な?おまえのが、エロい声出してんだろ?」
 「え……?」
 ナナがそのやりとりについてを、思い出すまえに、

 チュ――――――…

 くちびるから、意識を奪われた。



 「ん………っ、」
 濡れていたくちびるが、張りつくほどにキスは深まる。


 「んっ、ん…っ、」
 ふたりが、甘いキスを夢中でむさぼっている最中のことだった。




 ピンポーン

 突然、チャイムの音が、エロティックのなかに鳴り響いた。
















 ――――――――…

 「んんぅ…?」
 真夜中、サイレントモードにしてある携帯の、イルミネーションによってこけしちゃんは目を覚ました。
 普段は例えイルミネーションであっても、目を覚ますことはないというのに。

 ピンク色が点灯しているため、

 「ゾーラ先生ぇだぁぁ、」

 こけしちゃんはすぐに、通話ボタンを押した。



 「もしもしぃぃ、」
 おっとり、電話に出ると、

 『桜葉っ、携帯と上着を持って、すぐ外に来てくれ、』

 醐留権は急ぎの様子で、息を少しきらしている。


 「わかったのぉぉ。」
 にっこり笑うとこけしちゃんは、まだ8月だというのにパーカーを持って、こっそり外へと飛び出した。








 「ゾーラ先生ぇ?」
 門のまえには、なんと、立派なバイクが停まっていた。

 「こんばんは、桜葉。」
 いつにもなくワイルドめな格好で、醐留権は真夜中のご挨拶。


 「ゾーラ先生ぇ、バイクにも乗れるのぉぉ?」
 「あぁ、ちゃんと免許は持っているよ。」
 おっとりにおいて、ひどく驚いた様子のこけしちゃんに向かって、

 「桜葉、聞いてくれ。」

 醐留権は真剣な面持ちで、告げました。

 「このままだと私は明日、もう今日かもしれないが、結婚させられてしまうんだ。」

 と。




 「えぇぇ…?」
 こけしちゃんは、今にも泣きそうな顔をする。


 「もう私には、これしか方法が浮かばない、」
 醐留権も切なげな表情になったが、

 「桜葉、」

 言葉は力強く、こけしちゃんに想いをぶつけたのでした。


 「私と、駆け落ちしてくれないか?」







 こけしちゃんはにっこり笑って、想いを受け取った。

 「はいぃ、喜んでぇ。」







 「誰にも邪魔されない場所へ、行こう。」
 「はいぃ。」
 醐留権とこけしちゃんは、音で気づかれないよう、離れた場所までバイクを引いて歩くと、

 「ほら、これを、」

 こけしちゃんは醐留権から受け取った、ヘルメットを被り、パーカーも着込んだ。



 「しっかりつかまってなさい。」
 「はいぃ。」

 そしてふたりは星が煌めく夜空の下、揺るぎなき愛を携え、逃避行、つまり、駆け落ちしちゃったんです!












  Sweethearts don't sleep night also, either!!

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