第十二手:鶯の谷渡り
ベッドは軋む音を立て、傍らの薄明かりが揺らめいたような錯覚にとらわれる。
「あの……」
彼の枕にあたまを乗せてもじもじと仰向けになっているナナは、恥ずかしそうに薔を見上げていた。
白い柔肌、一糸纏わぬ躰は艶かしく照らし出され膨らみがところどころ影を作るため、とてもいやらしい。
「ん?」
微笑みかけた薔は上半身裸となっており、重なりあいそうでまだ重ならない肌にもナナの胸は高鳴る。
ベッドへ両手を突いている彼は今夜は、髪や肌を手での愛撫はしないまま、
「どうした?恥ずかしいのか?」
彼女にそっとくちづけると、鼻の頭やおでこ、ほっぺたへと、戯れつくようなキスを落とし始めた。
「あっ…っ、あ……」
くすぐったくて気持ちがよくて、ナナは心地よい匂いにも躰をふるわせる。
「だからそんなにもエロい顔してんのか?」
甘いリップ音が寝室には響き、薔のくちびるが触れた場所は全て蕩けそうな熱を持つ。
「ん…っ、ん……っあ、」
感じてしまうナナは否応なしに声を上擦らせる。
彼の言う通り、とっても恥ずかしい。
「可愛すぎだろ……」
その恥ずかしさがまた、全身を昂らせることを薔はよく知っている。
…ッ…クチュッ――…
「はっあ……っん、」
音を立てて耳を舐められ、ナナは聴覚をもどこまでも刺激されてしまう。
「あ…っあ、……っん、」
耳だってひどく感じる部分なこともあり、舐められてからはキスをされたり、耳たぶを吸われたりして、やさしく弄くられた。
蜜はどんどん溢れだし、臀部へと伝いシーツを濡らしてゆく。
「反応も全部、すげえ可愛いな…」
囁きで肌をなぞり、薔は首筋へとくちびるを滑らせてゆく。
「おまえはどこもかしこも敏感だもんな?」
「……っあっっん、」
首筋にも何度も、キスをされる。
舐められてもまた、興奮する。
丁寧に愛撫をされていると、秘部は次々と愛液を垂れ流し淫らな気分もより一層かき立てられた。
早く彼に、ソコまで愛撫してほしくなって、またたくさん濡らしてしまう。
さらりと時折髪が肌のうえを滑るのも、堪らないほどに気持ちがよかった。
「は…っ、あ…っあん、」
ナナの喘ぎは止まらない。
くちびるの動きには、強弱がある、強く吸って放された肌には、自分は彼だけのものなのだという証が残る。
チュッ…チュ…ッ…――…
「んんん…っ、あ…っ、」
ナナの肌のうえで、薔のくちびるは自由自在だ。
どこをどんなふうに愛撫すれば彼女が気持ちいいのかも、彼はよく知っている。
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