恋して愛してバレンタイン











 そこは戦場か?
 はたまた楽園か?

 それとも世界はふたりだけの、甘くとろける秘境なのか。















 「こけしちゃん先生、よろしくお願いします!」
 エプロン姿のナナと愛羅は、ペコリとあたまを下げた。

 「姉ちゃん、先生だってえ、ゾーラ兄ちゃんと一緒だね!」
 「エヘヘぇぇ。」
 同じくエプロン姿のこけしちゃんははにかみ、隣の司も小さなエプロンを着けております。



 はい、これからみんなして、明日に備えてチョコ作りを、開始しちゃうんです。
 それすなわち、こけしちゃんズクッキングスクール開催!











 ――――――…

 「チョコって溶かした後に、片栗粉入れなくていいのっ?」
 愛羅はニコッと尋ねた。

 「そうなんですか!?」
 「ちがうよ、ゼラチンだよお、」
 なにげに面食らうナナと、間違った訂正をする司の隣、

 ……何で片栗粉ぉ?ゼラチンもないけどぉぉ。

 ニコニコとはてなマークを浮かべる、こけしちゃん。



 「あっ、そうか、ゼラチンね!」
 「あのねぇぇ、チョコはねぇ、冷やせば固まるよぉぉ?」



 “手の掛かる生徒たちだな。”
 こたつで丸くなるゲイちゃんは、さりげなく呆れる。





 「今って色んな色の、チョコがあるんだね!」
 「可愛いでしょうぅ?」
 カラフルなチョコレートで、デコったりもして、

 「生クリームはなんで、あっためるのお?」
 「これでチョコを溶かすからねぇぇ?」

 ついでに四角い、生チョコまで作っちゃいまして、

 「冷やしてる間にぃ、ラッピングのお勉強ねぇぇ?」
 「はーい!」×3

 最初はいささか手こずったが、着々と愛のチョコたちは固まってゆきました。











 ゴクリ…

 「で、できた…!」

 生徒たちは皆、息を呑んだ。



 ようやく、いくつかのバラエティに富んだチョコレートが、完成した模様です!



 「いっぱいできたよーっ!」
 「じゃあぁ、殿方を泣かせてもいけないからぁぁ、みんなで味見しようぅ?」
 「やったあ!」

 と言いますことで、予め乙女(受けも乙女でいいよね?)たちで試食会という名の女子会でございます!






 「美味しいっ!」
 どうやら、無事に美味しく出来たようだ。


 「こけしちゃんはすごいね!眼鏡の絵が描いてある!」
 「ほんとだ!」
 「姉ちゃん、わかりやすーい!」
 「エヘヘぇぇ。」
 みんなしてエプロン姿で、かなり盛り上がっております。


 「モモちゃんのこれは、ハートがいっぱいですね!」
 「だって羚亜くんが、大好きなんだもーん!」
 「さすがぁぁ。」
 「でもいっぱいすぎるから、かろうじてハートだってわかるよお?」

 ……………………。






 「み、三咲さんのこれは、何っ?」
 「ナナちゃぁんすごぉいぃ、初めてなのにトリュフを作ったのぉぉ?」
 乙女たちは気を取り直そうと、したのですが、

 「え、えっと…、」

 めちゃくちゃ恥ずかしそうに、ナナは明かした。


 「これ…、ば、薔薇…です……」









 …………あ、なるほど。


 こけしちゃんの場合は、それ相応に変換していただきたく、

 「ナナ姉ちゃん、わかりやすーい!」
 「司くん、恥ずかしいって!そう言う司くんは、誰のために作ったのかな!?」
 「その質問には、お答えできませーん!」
 「そう言わずに教えてよ!」

 なんだかんだで、和んだ。








 女子会のあとは、チョコたちを可愛くラッピングして、あとは本番を待つのみとなりました!

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