It's surely a tale of the new year!!
たいへん、おめでたい。
ので、
いっそ今までのキャラを総出演させてみようかとも思ったのですが、ややこしくなるうえに物語が成立しなさそうに思えて仕方ないので、物語として出せるキャラをなるべくにおいて少なめに出しつつ、ややこしくないお話に仕上げたいと思います。
既に、冒頭のこのご説明だけでも、ややこしくなってはおりますが。
「はぁ………」
黒熊は、ため息をついた。
主人公すら(←を、にしてあげてよ)差し置いて、真っ先に登場できたというのに。
「桜葉さん、かわいいなぁ…」
マイルームで勉強をしようと思い立った黒熊だったが、ふとこけしちゃんについての妄想が始まり、勉強が手付かずになってしまっていたのだ。
「あの平和なニコニコ顔、ピンクのほっぺ、ちいさなくちびる……」
この段階で、
ポタリ
黒熊は、鼻血を出した。
「いやぁ、ほんとかわいいなぁ…」
うっとりする彼は、伸びた鼻の下が赤く染まっていることに全く気づいていない。
「でも桜葉さん、醐留権先生といいカンジすぎるんだよなぁ…」
シクシク…
鼻血と涙を流す、黒熊くん。
文章にしてみただけで、かなりグロテスクである。←ひどい、
「桜葉さん、Sな美形がお好きだからなぁ…。ぼくなんかどう考えても、どちらもまったく肩書きにできないよ…、」
黒熊は泣きながら、
「悲しくなっちゃったから、漫画でも読もっと。」
本棚にあった、少年漫画を手にとった。
お勉強は、どうしたの?
読み進めてゆくうちに、黒熊の瞳はパアァと輝き出した。
「コレだ――――――――っ!」
歓喜の叫びを上げた黒熊くんは、勉強をほっぽりだして、とりあえず夕食を楽しもうとした。
家族の皆さんは、とりあえず幸明を見てギョッとしたようだった。
――――――…
「……んで、黒熊はその漫画を読み、先生に“イケメンになる薬”とかいうやつを作ってほいしんだな?」
職員室で、かしこまる黒熊のまえ、担任の吉川はいつになく真剣な表情である。
「はい!お願い申し上げます!」
ぺこりとあたまを下げる、黒熊くん。
「でもな、黒熊、普通そういうのは、化学の先生に頼むものではないか?」
ちょっと呆れる、吉川。
「いえ!どちらかと言うと、横科先生よりかは吉川先生のほうが、頼りになります!この学校で唯一頼りになりそうなのは醐留権先生ですが、あの方にはあまり、頼りたくないんです!」
「ぇぇぇぇぇええ!?」
ちょうど醐留権が留守だった職員室は、震撼した。
「珍しいなぁ、黒熊にしては、ちょっときついことが言えたなぁ。」
震撼の後、落ち着いた吉川は、やたらはしゃぎだした。
「吉川先生、笑ってる場合じゃないでしょーっ!?」
青ざめて叫んだのは、横科先生である。
「まぁまぁ、横科先生、落ち着いてください。ますます威厳をなくしますよ?」
「はしゃぎながら、ひどいこと言わないでよ!余計に薄くなったら、どうするの!?」
横科は、地肌に両手を当てた。
「大丈夫ですって!もうあまり、ハゲるとこありませんから!」
「もう、やめてよーっ!」
「ところで、黒熊、」
「はい!」
横科は未だぶるぶる震えているが、吉川は黒熊に尋ねた。
「お前の目指すイケメンとは、どんなカンジなんだい?」
とね。
「それはもちろん、我がクラスメイトの、くれな」
ここまで叫んだ黒熊は、
「しぃっ!」
教師たちに口止めをされた。
………………え?
「おおおっ!危ない黒熊、それ以上は叫ばなくて、良かったなぁあ!」
笑いながら吉川は、胸を撫で下ろす。
周りはうんうんと、頷いている。
「で、黒熊!」
笑いつづけながら、吉川はけっこう叫んだ。
「どうしてお前は暮中みたいに、なりたいと思ったんだぁ!?」
……担任の先生が、言っちまったよ。
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