何だかメリークリスマス
リビングには、色とりどりの飾りをつけ輝くクリスマスツリー。
開封されたプレゼントの包装紙と、リボンが無造作にテーブルの上へと置かれている。
まだ、降り続く粉雪。
明日になればいくらか、外の世界を白く染め抜いているのだろうか。
窓の外に見える仄かな白に覆われたたくさんの明かりたち、今宵、人々はどんなクリスマスイブを過ごしているのだろうか。
「誕生日、おめでとう。」
要は美しいゆびへと指輪を嵌め、そっとくちづけた。
「…別に、こんなん要らねぇよ、」
とか言いながらも彼は、頬をほんのり赤く染めている。
その様子を微笑ましく思いながら、
「君はほんとうに、素直じゃないね、」
「……っ、おい、ヘンなとこ触んな…っ、」
脚から這わせていった手を、要はトップスの中へと忍ばせてゆく。
そして、
「やめ…っ…」
抵抗を試みる彼の両手を掴み、そのままソファへと押し倒した。
ドサッ――――…
「私のプレゼントが嬉しかったから、躰はこんなにも火照っているのだろう?」
上となった要は、妖しく微笑みながら傍らのテーブルよりプレゼントを飾っていたリボンを引っ張って、
「違ぇよ…っ、」
未だ抵抗を試みようとする彼の両手を、縛り上げてしまった。
「あぁ、やはりよく似合う…」
ギリッ…
「や…っ、痛…っ、」
ピンク色のレースのリボンは、動くたびに手首へと食い込む。
少し苦しげな息を上げるそのくちびるへと、要はくちびるを寄せ、
「私へのクリスマスプレゼントは、」
囁いたのだった。
「もちろん君をくれるね?…薔、」
(どっふぁぁぁあああ――――――――――っ!)
あーっ、ぁーっ…(※たいそう萌えてはおりますけど絶対にあげませんよ!なエコー)
真っ赤っかとなったナナは、いったん勢いよくノートを閉じていた。
ちなみにこちら、クリスマスイヴ記念のための特設会場という名のこけしちゃん宅のこけしちゃんズルームでございます(ややこしい)。
「ここここここけしちゃん!」
「なぁぁにぃ?ナナちゃぁん、」
ニワトリの真似をしているわけではないナナさんは、鼻息まで荒くして隣の親友へと尋ねました。
「なぜに4月にお誕生日なの!?」
と(※F・B・D本編は只今春めく4月でございますゆえ)。
すると、こけしちゃんはじつににっこにことしたまんま、
「あのねぇ、どこかの世界では今はぁ、12月なんだってぇぇ。」
そう、答えてきた。
「どこかの世界って、どこ?」
「変なおばさぁんが住んでるところだよぉぉ?」
「なるほどーっ!」
こけしちゃんの言うところの変なおばさんとは、作者のことである。
「だからぁ、あたしからのクリスマスプレゼントなのぉぉ。」
「なるほどーっ!」
熱く手を取り合い、はしゃぐ乙女たち。
以上、ショートショートなこけしちゃん腐レゼンツで薔誕御礼は幕を開けました。
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