淫靡の共有







「んん…っっ!」
 跳ねた私は絶頂を得る。
「く…っ!」
 夜の彼もまた、子宮目掛けて勢いよく射精をした。ふたりの熱を順に感じ取っても、奥の奥まで満たされても、まだまだ足りることはない。

「あ…っ、やば、出る……」
 昼の彼は私の頭を押さえつけ、イっている最中に口内へと放った。

「…――――――っ!」











「ん…っ、んくう…っん」
 上の口では嚥下をし、下の口では搾り取り、私の淫欲は男たちの精液で堪らなく熱くなっていた。鼓動は体内を支配し、冷めることを知らずにいる。
 汗だくの私の全身は中までぐしょ濡れで、朦朧とする意識では快感以外を捉えられなくなってくる。

 膣から抜かれたアソコも、口から放されたアソコもまた硬くなり、私を存分に欲していた。


「あ…っあっ、あ…っ、はあ…っんっ」
 ドサリとベッドに押し倒された私は、躰を横向きにされ、弟のアソコを再び挿入される。
「あああっっあっ、あんん…っむっ、ん…っ」
 そして、突かれ出すとまた、兄のアソコを口いっぱいに咥えさせられた。躰は何度でも、彼らに支配され、いやらしく強欲になる。


 ヌグッ…グチュッ、グチュッ…チュグッ……

 それぞれの手が乳房を愛撫して、夜の彼は伸ばした手でクリトリスを弄くった。蕩けた体液は彼のゆびに絡みつき、昼の彼のアソコにもたっぷりと絡みついていることだろう。
 ふたりのゆびが、左右の乳房を違ったやり方で愛撫する、かたほうは執拗にこね回され、もうかたほうは引っ張って放されたところを弾かれ摩擦を与えられる。

 私には二人に出会うまでの記憶がないぶん、余すところなく彼らの色に染められた、私には彼らがすべてだった。

「んんうっ、んくっ…っんっ」
 膣で感じる鼓動も、口で感じる鼓動も、速くなってゆくのを感じ取りまた濡らしてしまう。










「解離性遁走って言うのかな……君は元カレが与える苦痛に耐えられなくなって、俺らの場所まできっと辿り着いたんだ」
 私の意識が朦朧としているからか、兄のほうが難しい話を始めた。私はひたすら快楽を貪りながら、遠い夢の中の話のようにそれを聞いていた。
「守ってやる代わりに、逃がしてもやんねぇから」
 弟のほうが私の最奥を突き上げる。私のことは私自身より、二人のほうが遥かに知っているということだ。



 ふたりを知れば知るほど、離れられなくなる。ここ以外、どこにも行きたくない、逃げたいとも思わない。
 だから私は何度でも、躰を差し出す。
 激しくされるほど、守られているような錯覚に囚われる。囚われてゆくほどに、解放されてゆく気分になる。

 どちらか一人のものになりたいとも思わない、重ねるセックスは私の毒でもあり、薬でもあった。














 Fin.

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