飼い慣らされて、あなたに


 ウィズが、子猫を拾ってきた。
 三毛猫で、小さくてふわふわしている。ウィズは大切に世話をしていた。

 「ねぇ」
 わたしが問いかける。
 「その子、名前は?」
 ウィズは顔を上げると、嬉しそうに言った。
 「ミルクだよ」
 「はぁ……」
 わたしは返事をしたが、何とも面白い名前だと思った。ウィズはさらに、付け加える。
 「ミルクを反対から読むと、瑠美さんの名前が入るでしょ?だから、ミルク」
 ミルクが、ウィズの鼻を舐めた。
 「大好きだから、共通点が欲しいんだ」
 ウィズははにかむように笑った。
 その姿があまりにも可愛かったから、わたしは意地悪をしたくなる。
 「そんなコト言って、最近全然構ってくれないじゃない」
 ちょっと拗ねて言ってみた。ウィズがわたしを、キョトンとして見つめる。
 「構ってほしいの?」
 ウィズの瞳は澄んでいた。
 「うん、構ってほしい」
 わたしは頷く。
 「でも、ミルクが見てるよ?」
 そんなことは、構わない。わたしはウィズの頬に触れた。
 「くすぐったい」
 ウィズがクスクスと笑う。
 わたしはウィズの顔を両手で挟むと、優しく口づけた。
 「ん…………」
 ウィズが、わたしの背中に手を回す。
 優しいキスだったはずなのに、ウィズから舌を入れてきた。キスが巧くなったなぁと、わたしは感心する。
 「あッ…………」
 唇から首筋へと、わたしは舌を這わせた。ウィズが、色気のある声を出す。
 「るみ、さんッ………」
 吐息混じりに、ウィズがわたしの名前を呼んだ。わたしは、ウィズの胸元にキスをする。
 「あッ…、そこッ……」
 ウィズが、強くわたしを抱きしめた。そうしながら、しなやかに悶える。
 「ねぇ…ッ、るみさんッ……」
 高い声で喘ぐウィズは、今にも壊れてしまいそうで。
 「あッ…、もっと、きて…………」
 わたしはウィズを押し倒すと、お腹のあたりにキスをした。なめらかで白い肌が、唇に触れる。
 「んあッ…、そう……、もっと、した……」
 わたしはウィズを裸にすると、硬くなった部分を口に含んだ。ビクビクと、ウィズが震える。
 「ひゃあッ…!」
 声を上げたが、手ではわたしの頭を下半身へ押し付ける。
 「あぁッ…!そこッ…!」
 わたしはウィズをぐしゃぐしゃにしたくなり、強く吸い上げた。あまりにも綺麗に鳴くので、もっと声を聞きたくなる。
 「もうッ…、ダメッ……!」
 ウィズが、声を絞り出した。そして、絶頂の叫びを上げる。
 「あぁぁッ……!!」
 わたしは、ウィズを全て飲み干した。

 肩で息をしながら、わたしたちは抱き合う。ウィズは、潤んだ瞳をしていた。
 「瑠美さん………」
 ウィズが、耳元で囁く。
 「大好き………」
 そしてウィズは、わたしの耳たぶにキスをした。消え入りそうなほど、優しいキスを――――

 にゃあ。
 ミルクが、甘えたような声を出す。
 結局、あなたは全部見ていたのね。
 わたしたちは裸のまま、ミルクと共に抱き合った。
 ヤキモチ妬いて、ごめんね――――
 ウィズもミルクも、大切な家族だよ。
 わたしはそう呟いた。聞こえないように、そっと、ね。

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