フェティッシュ〜唇で愛して〜


 唇を見ると、ゾクゾクしない?
 わたしはどんな人であっても、まず、唇を見る。それが理想でなくちゃ、ダメ。唇じゃないと、感じないの。
 やっと巡り会えた理想の唇、運命の人だと信じたい――――――。

 キスで確かめ合う夜。
 月は照れてかくれんぼ。
 ベッドサイドの薄明かりのなか、わたしたちはキスをする。
 「ん………………」
 わたしはその唇を求め、舌を伸ばした。舌先が触れる瞬間、何度も身震いをする。
 「っは………んんんっ……………」
 彼はわたしの頬を挟み、舌を絡ませてきた。唇は濡れ、チュプチュプという音がする。
 「ねぇ………唇、見せて……………」
 わたしが囁くと、彼は顔を離した。よく見える位置で、わたしを見つめる。
 「キレイ……………」
 わたしはその美しい唇に、そっと触れた。柔らかな感触が、指先に伝わる。
 「本当に唇が好きだね」
 そう言って彼は笑った。
 「そんなに好きなら、もっとあげるよ」
 再びキスをする。
 そのまま彼は唇を、わたしの首筋から乳房にかけて這わせていった。
 「あっ………んっ………」
 唇がそっと、胸の突起に触れる。
 「ああんっ………」
 彼はソレを口に含むと、優しく舐め回した。そしてもう片方の突起を、指で弄ぶ。
 「んやっ………ソコばっか、ダメ…………」
 わたしは胸の辺りに意識が集中し、すごく感じていた。大好きなあの唇が、わたしの乳首を挟んでいることに興奮する。
 「じゃあ、コッチがいい?」
 そう彼は言うと、わたしのヴァギナに指を挿入した。
 「ひあっ……………!」
 ビクンと、仰け反る。
 彼は指を抜き差ししながら、わたしのなかをかき乱した。グチュグチュといやらしい音がして、秘肉は濡れてゆく。
 「じゃあ、唇でシてあげる」
 そう言うと指を抜き、いったん指についた蜜を舐める。
 唇が、汚れてゆく。
 なんて下品で、美しい光景なのだろう―――…
 彼はわたしの股を割ると、M字に脚を広げた。そしてソコに顔をうずめると、濡れた秘肉に唇を押し付けたのだ。
 「ああああああっ…………!」
 くすぐったいのと気持ちがイイのとで、わたしは声を上げる。
 「あぅっ………あっ、あっ、あ………はぁんっ…………」
 喘ぎながら、指をくわえた。彼はわたしの性器を甘噛みし、吸い付くように舐める。
 「っん………んっ、あっ…………ダメっ…………すごく、気持ちイイ………」
 うっとりしていると、舌をヴァギナに挿れられた。吸い付くように、飲み込まれる。
 「はっ………あっ……んあああっ………やだっ…………ああ!」
 激しい舌の感覚に、わたしは腰を動かした。動かすたびに舌先の位置が変わり、新たな快感が押し寄せる。
 「だめっ………やんっ………イキそう………っあぁ!」
 股間から広がった刺激が、全身を支配した。
 「ああああああっん………………!」
 絶頂の声を上げる。
 達したあと、彼はわたしを抱きしめた。そして唇や頬やおでこに、優しくキスをしてくれた。

 静かに眠る彼を見て、わたしはまたその唇に触れる。
 そっと口づけをすると、柔らかくて温かい。
 いつまでも、こうしていられたら―――――…
 唇だけじゃなく、彼の全てをカラダじゅうに感じて。
 わたしは彼に寄り添い、ゆっくりと瞳を閉じた。
 おやすみ。
 深く眠るから、優しいキスで起こしてね。




  for Precious Friend.

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