フェティッシュ〜指に溺れて〜


 あたしは、指が好き。
 どんな人に出会っても、まず、指を見る。
 理想的なのは、白くて細長い指。マニキュアは、あってもなくてもいい。
 今のあたしの彼氏は、まさに理想の指をしているの。だから、誰にも渡したくない。
 ――こんなあたしの歪んだ愛を、あなたは受け入れてくれますか?――

 「っん、もっと――」
 あたしは今、彼の指を舐めていた。
 彼がくすぐったそうに指を引っ込めるから、わたしは引き寄せる。
 「そんなに指がいいの?」
 彼が優しく聞く。あたしはその美しい指に、そっとキスをする。
 「ん…、指がいい」
 あなたのこの、整った指が。
 「そんなにいいなら、遊んであげるよ」
 笑いながら言った彼は、あたしを抱き寄せた。そして指で、あたしの頬を撫でる。
 「あ………」
 彼の指がくすぐったくて、あたしは震えてしまった。
 次に彼は、服の上からあたしの胸を触り始めた。ゆっくりとしなやかに、彼の指があたしの胸を撫でてゆく。
 「っあ……!」
 彼があたしの胸の突起をつまんだ。あたしは声を上げる。
 「ココがいい?」
 耳元で囁く、甘い声。
 「んッ、ドコでも、いいよ………」
 あたしは彼にしがみついた。彼はあたしの胸を弄りながら、唇にキスをしてくる。もちろん、舌を絡ませた濃厚なキスを。
 「んンッ………」
 音を立てながら、舌と舌が絡み合う。その音を聞いてるうちに、だんだんとエスカレートしてきた。
 彼はあたしの服をめくりあげると、胸の突起に吸い付いた。
 「んあッ!やぁッ……!」
 あたしは喘ぐ。
 あたしは彼の指を掴むと、口元まで持ってきた。そして指を口に含み、舐め回す。
 「っんんッ…!」
 いやらしい音を立てて、彼の指は濡れてゆく。
 そして彼は指を強引に引き剥がし、あたしの下半身へ挿入してきた。
 「ふあッ……!あぁんッ……」
 いきなりの痛みと快感に、あたしは悶える。彼はクチュクチュと、あたしのなかをかき乱す。
 「あッ、あッ……!」
 あたしはただ、声を出すことしかできない。
 「んッ…、もっとォ……」
 あたしの口からは唾液が流れ、目からは涙があふれた。どれだけ自分は今、淫らな表情をしているのだろう?
 「イイね………」
 彼が囁く。そして指を増やすと、更に奥へと入り込んできた。
 「あぁあッ……!」
 あまりの痛みに、あたしは叫ぶ。そして折り重なるように、ベッドへ倒れ込んだ。
 そのまま彼はあたしにまたがると、硬くなったモノを慣れた膣に挿入してきた。
 「ひゃあッ……!」
 あたしは高く鳴く。
 そしてゆっくりと、彼は腰を振り始めた。
 「っあぁ……、っは…」
 あたしは彼に合わせて、泣きながら腰を振る。
 「そう……、もっと振って」
 その言葉は呪文のように、あたしを快楽へと駆り立てた。
 「んッ、あ、イイよォ……」
 うっとりと自分の指をくわえる。
 彼の腰使いはとても巧く、あたしをイカせるには充分だった。
 「うッ、イクぅッ……!」
 彼の攻めがあまりにも強く、あたしは達する。
 「あぁぁぁあんッ…!」
 ビクビクと震え、あたしは絶頂の声を上げたのだった。


 ねぇ、今気づいたの。
 あたし、あなたの場合、好きなのは指だけじゃなくて、全部なんだってことに。
 そう思いながら、あたしは彼の指をくわえる。
 指だけじゃなくて、全部愛してあげるから―――、

 どうかそばに置いてね。
 死ぬまでずっとよ、お願いね。




   end

[ 32/236 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る