※※第354話:Make Love(&Nirvana).214















 ナナは自分でも驚くほど淫らな、夢を見てしまった。
 欲求不満だから見た夢では到底なく、欲求が満足しすぎているからこそ夢の中で飛び抜けてしまった。

 ぼんやりとした世界ではなく夢にしては鮮やかな世界で、艶かしい雰囲気が終始漂っていた。




 「すごいです……薔がおふたりも……」
 ナナはうっとりと溜め息をつく。
 こんなにも最強に美麗な美形男子がふたりもここに揃ってしまうと、世の中の美の比率は大丈夫なのかと心配にはなる、けれどもう至福の眼福を愛でるしかできない。

 「俺が二人いると嬉しいのか?」
 二人揃ってではなく、ナナから向かって右の薔が確かめた。
 「そういうわけでは全然ないです、一人でないと困ります、ですが今は目の前におふたりもいらっしゃるのでどうしたらいいのか困っております……」
 ナナは真面目に答える、ふたりに向かって。

 「ところで、どちらが本物の薔ですか?」
 一番に気になることをナナは尋ねた。
 このレベルの美形はそうそういないため、どちらも本物にしか思えないところがまた困っちゃう部分でもある。
 「どっちも偽物に決まってんだろ?」
 ナナから向かって左の薔が堂々と答えた。
 そりゃそうである、本物は現実の世界で一緒に寝ているのだろうから。


 「えええええっ!?」
 びっくり仰天して後ろのめりに倒れそうになった彼女を、一人の薔が抱いて支えた。
 「離してください!わたしは本物の薔に会いに行きます!」
 偽物だと知らされたナナは抵抗をして見せるものの、まだ目を覚ます気配はなかった。
 これでは、本物の彼に会いに行けない。

 「完全に偽物ってわけでもねぇよ、これはおまえが見てるエッチな夢だからな、」
 「おおお……!わけがわからないですけど、本物でも偽物でも薔はお美しすぎました!」
 迫られたナナは困惑する。
 完全に偽物なら美も偽物になるので、その納得はしないと思われる。

 「やる事はもう一つしかねぇだろ?」
 「く、組み体操ですか?」
 「違ぇよ……」
 ふたりの彼氏と自分で組み体操を繰り広げるのかと思ったナナだったが、じつは三人一組で安全に魅せられる組み体操のレパートリーはそんなになく、ふたりに同時に訂正された。
 まあ、大好きな彼と夢の中で代わる代わる組み体操……も、面白そうではある、たぶん。




 「こういう事だよ、」
 後ろから支えていた薔が、両手で胸を揉み始める。
 「あっ…あ、あ…っ、」
 服ごと掴んでやわらかく揉まれ、ナナは甘ったるい声を上げていった。

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