※※第353話:Make Love(&Shed).213


















 土曜日の午後、約束通り羚亜は女性警察官のコスプレをさせられていた。
 衣装は愛羅が用意したもので、予定通りパンツが見えるくらいの超ミニスカートで、女の子用のパンツは例え網タイツを穿いていようとも男の子である証拠がはみ出そうで心許なかった。


 「あの……これ、愛羅さんが着たらすっごく似合うと思うんだけど……」
 羚亜は控えめながらも心の底から、コスチュームを譲りたがっている。
 「何言ってるの!?羚亜くんほど似合う男の子はこの世にいないよ!?」
 すでに気持ちはエロ親父全開の愛羅は、輝く瞳で舐め回すように彼を見つめていた。

 「うう……嬉しくないはずなのに……嬉しいような気がしなくもない……」
 「羚亜くんたら、素直に喜びなよ!」
 羚亜は彼女のおかげでとっくに目覚めているとも思えるが、褒められてちょっと嬉しいのが複雑でもあった。
 本来なら逆の立場で喜びたいのに、恥ずかしくされてなぜか照れ臭くなっている。



 「じゃあ、尋問始めて?」
 「いきなり!?」
 首を傾げて卑怯にも可愛らしく微笑んだ愛羅は無茶振りをした。
 もともと尋問の内容は何でもいいと言われてあったものの、羚亜は何も尋問内容を用意していなかった。
 なのでSMプレイを気取るなら、乱痴気騒ぎに関する咎め立てなどが妥当と思われた。


 「えっと……、法定速度40キロオーバーです……」
 ところが羚亜は気が動転していたのか、交通ルールに於いての尋問を始めてしまった。
 ちなみに二人とももちろん、運転免許証は持っていない。
 まあ尋問内容は何でもいいので、車なんてミニチュアですらどこにもなかろうととにかく警邏していればいいのだろう。

 「40キロくらい見逃してくれや、姉ちゃん。」
 「愛羅さんのそれは、何キャラなの!?」
 「酔っ払いかなあ?」
 「てことは飲酒運転にもなっちゃうじゃん!人としてダメ!絶対!」
 網タイツ越しの脚を眺めていた愛羅は、テレビ番組とかに出てきそうな言い訳にもならない言い訳をした。
 さっそく身の危険を感じた羚亜は少し、後退りをする。

 飲酒運転は人として駄目だと、ヴァンパイアですら申しております。




 「それより、こんなエロい格好した警官が世の中にいたとは!至福の極み!」
 「うわあっ!?どこに顔うずめてるの!?」
 「羚亜くんの股間!」
 尋問の途中で我慢ができなくなった愛羅は、彼氏の脚に抱きついた。
 驚いた羚亜は冷静でいたいのに、顔をすり寄せられてソコが冷静でいられなくなる。

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