第5話:Game(+Spread).3




 三咲 ナナ宅にて。

「……………死ぬ。」
 ナナは机に突っ伏していた。

 (くそぅ…………!あのひとがあんなにも深い話をするから、涙が止まらなくなっちゃったじゃないか!あのひとのまえでしか泣いちゃいけないのに、涙止まらないよぉ……………………!!)


「びぇぇえ………!」


 そしてナナは自宅に帰ってから、ずっと泣いていた。
 最初はハンカチを使っていたが、ハンカチだと涙と鼻水の区別に手こずるので、今はティッシュに落ち着いていた(どうでもいい)。
「だいたい、あのひと、昔はあんな天使みたいだったのに、今では…………」



 ――――――――…



「なに言ってるの?わたし。」
 天使を変えたのには、とてつもなく深い、理由があったじゃないか。
「バカバカぁ!」
 頭をポコポコ、殴る。
「うっ…………うっ……………」

「ナナ、ちょっといいか〜?」

 ガチャ――――――…

 顔を出した、ナナ父。

「な……………!?」

 ※ふたり同時に、
「ノックしてよ――――っ!!」
「なぜ泣いてるんだナナ――――――っ!?」


 ゼェゼェ………


「ナナ、ノックを忘れたのは、お父さんがいけなかった!しかしお前は、なぜこんなにも、部屋中をティッシュであふれさせるほどに、泣いているんだ!?」
「お父さんには、言えない。」
 …………えぇ?
「それにお父さんのまえでは泣けないから、いっそ出てって!」

 ………………えぇえ!?


「どうしたの、ナナ?まさか今ごろ(387年目にして)、反抗期?」
 父がなにを言おうと、うるうると父の話は聞こえていない様子の、ナナ。

「まさか、お前……………!」

 がしっ!
 父はナナの肩を掴んだ。

「例の悪魔とやらに、何かされたんじゃないだろうな!?」



 …………かぁぁあ!



 (あれ?なんで我が娘は、真っ赤になってるんだ?)

 ………………はっ!

「そうかお前、風邪ひい」
「出てってぇ――――――っ!!」

 ………え!?
 何?今のスゴ技?
 お父さん、お前に初めて、話遮られたよ?

 バタン

 ドアは閉じられた。

「ナ、ナナ、」

「何よぉ?」

 よって、ドア越しの会話。

「お前、あの玄関にある赤い傘は、どうしたんだ?」


 ………………あれ?
 どうしたんだっけ?


「いつの間にか、持ってました……………。」
「そ、そうなのかぁ。」

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