第40話:Love(&Lives).33





 「う……………」
 ナナの瞳からは、涙が伝い落ちる。

 ただ黙って、やさしく彼女のあたまを薔が撫でている。




 …――ありがとう、美咲さん、

 ここにいるっていうことが、よくわかったよ――――…





 「いま聴けて、よかったな。」

 そして、薔は微笑んだ。







 その後は、ちょっと遅めの昼食にしたりして、夕方までラブラブしてたんです。

 ラブラブの内容は、ご想像にお任せしよう。

 手抜きじゃないよ?

 想像力は、大事!







 んでもって、この日、

 「おまえ、今日は帰って休め。」

 薔がこう言った(命じた?)ので、ナナは久しぶりに帰宅をしたんです!

 実家にね。


 もちろん、きちんと門まで薔が送っていきましたよ。





 「ちゃんと休めよ?」
 「はい!ありがとうございます!」

 繋いでいた手を離したが、離されたものはなにもなかった。



 んで、

 これはほんとうに、しばしの帰宅なんです。







 ガチャ―――――…

 「ただいまぁ、」

 そろそろと玄関からナナが顔を出すと、

 「おかえり、ナナ。」

 母は玄関で、プリングルズを食べながら出迎えてくれた。



 ………おおお!?


 「お母さ――――――ん!」

 大感動の、ナナ。


 「ナナ、おかえりぃ!」
 すると、母の後ろから父がひょこっと顔を出した。


 「お父さ――――――ん!」

 またしても大感動。




 そのとき、

 「ナナ、せっかくだから振り返る?濃厚なキスシーン。」
 「ちゃんと録画しといたぞぉ?いきなりのキスだってな!」

 母と父が立て続けに言ったので、


 「どうしてわたしの両親は、そこにばっか触れるんだよ―――――――――っ!!」


 玄関先で、真っ赤になったナナさんでした。





 さあて、存分に父と母と、語り合ったりしてね。

 キスシーンについてとか。


 もうすぐ、アレだから!








 ――――――…

 パリへと向かう飛行機のなか、夕月は穏やかに瞳を閉じていた。
 ファーストクラスの席に、深く身を預けて。


 夜空を、優雅に、機体は進んでゆく。




 「…今、言うことじゃ、なかったんだよな、きっと。」

 瞳を閉じたまま、ふっと夕月は言ったのでした。




 「美咲の旧姓が、“七海”(ななうみ)だ、つうことは、」






 This episode is once ended happily.
 ...And it rushes into new episode.




 …――Thank you,

    I am here.

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