第24話:Game(=Lovers…).22








 『愛してる。』



 そのことばは、深くうつくしくも、浮かび上がっていった。

 ナナはただただ、ぼーっとしており。
 赤面することすら、しばし忘れていたのだが。



 「ぇぇえ!?」
 ふと一瞬で、湧き上がるかのように、真っ赤っかになった。
 「わぁあ!またそうやって、ご冗談をぉ!」
 笑おうとしたが、うまく笑うことができない。

 「俺はいたって本気だ。」
 真っ赤であたふたするナナとは逆に、薔は落ち着き払っていた。


 「で、でも、これはゲームだって………、」
 「ゲームなら、おまえを愛せないのか?」

 ……………ぇえ!?

 「そそそそそれに、言いたくないですけど、わたしはもう387歳です!」
 「それがどーした?」
 ナナは、言い訳だかなんだか、必死である。

 「それにわたし、ヴァンパイアです!」
 「そこもおそろしく好きだな。」

 ………………えぇぇぇえ!?

 「だからわたし、いっぱい人を、殺しちゃいました!」
 「俺もだ。」
 …………ぎゃあ!

 「だからそれは、まったくもって違いますってばーっ!」
 「共に背負う覚悟なら、とっくにできてるよ。」

 ………………わぁあぁっ!

 「でも、あの…………、」
 「おい、」

 まだなにかを述べようとしているナナに向かって、薔は言い放った。




 「つべこべ言わずに、愛させろ。」





 「う………………」
 ナナは、真っ赤で黙りこんだ。

 もはや、どうしたらいいのかまったくわからないナナなのだが、
 「ナナ、」
 薔は瞳を細めて、問いかけました。


 「おまえは俺が、嫌いか?」



 「え――――――…?」
 動きをとめるナナのした、薔はつづける。
 「好きなのは、カラダだけか?」

 ………………えええ!?


 「安心しろ。おまえが俺を嫌いでも、俺は変わらずおまえを愛してるよ。」




 「んんん………………」
 ナナはせつなく、ほおを赤らめて、今にも泣きだしそうな顔をした。

 そしてうつむいたが、




 「………好き……………、」

 消え入りそうな声を、振り絞り告げた。


 「……好き、です………………………、」


 薔の胸元へと、顔をうずめる。




 「大好き……………………」




 そのあたまをやさしく撫でて、薔は言った。


 「あぁ、じつは知ってる。」

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