「最近黄瀬と仲がいいみたいだな」 征十郎の膝の上に乗ったまま、私の動きが止まった。腰に巻き付いている腕はギュウギュウと痛いくらいに私の腹部を締め付ける。彼が不機嫌になっているのは一目瞭然だった。私が他の子と話したりしていても、ある程度赦してくれていたんだけどな。今回はどうしたんだろうか。 『よく知ってるね』 「癒月のことだったら何だってわかるさ」 今までずっと一緒にいた。だからお互いのことは大抵わかっている。征十郎の嫌がることも機嫌がよくなることも。 『でもどうして黄瀬くんは駄目なの?』 「俺が嫌なんだ」 私の首に顔を埋める。征十郎の赤い髪があたって擽ったい。思わず身を捩った。 『征十郎が嫌だったら黄瀬くんとは話さないけど、黄瀬くんが話し掛けて来るんだよ?それを無下には出来ないよ』 「…………癒月、」 『はいはい、そんな顔しても駄目。なるべく頑張るよ』 だから黄瀬くんには手出さないでね、そう云うと征十郎は身動いだ。
まどろむような体感温度 (今までの人みたいに黄瀬くんに何かしたら征十郎とは話さないよ) (………癒月がそう云うなら)
title//花畑心中 |