「ゆ、侑士、ど、どうしよう」
「何が?」

「何って、耳が…!私、どうしちゃうの?」

「ああ、流行り病やし、すぐになくなるらしいから、大丈夫やろ」

「そう、なの…?」

「(アカン不安そうな今の表情めっさたまらん…!)せやで安心し」

「…うん」


怯えた子猫が飼い主に縋るように俺の首に手を回してぎゅうと抱き着く名前はあれや。人間兵器や。俺という男の理性を粉々に打ち砕く危ない破壊神だ。それが今や猫耳という最強装備を手に入れたのだ。誰が敵うというのだろうか。まあ、もとからそれに抗うつもりはないねんけど。


「なくなるらしいから」

「から?」

「その前に、いいことしよか、子猫ちゃん」


ふっと息を耳に吹き掛けながら言うと、空気の変化に感づいたのか、真っ赤になって慌てて俺から逃げようと身を引いた。けど、後ろはベッドなのでただシーツに身体を埋めただけにしか過ぎなくて。相変わらず俺の腕の中やね。口許に浮かぶ笑みを隠すことも忘れてニコニコしながら彼女の顔をじっとみる。視線に耐えられなくなった名前は俺から逃げるせめてもの抵抗として、身体を反転させて、枕に顔を隠した。そんなことしても無意味やのに。


「…ん?」


そして名前がそうしたことで、俺の身体に触れたの柔らかい感触。ふわふわしている。まるで、ついさっきまで触っていた猫耳みたいに。そして、直ぐに合点がいった。あかん、更ににやけてもうた。
布団の中で片手で名前の腰からお尻に向けて撫で下ろす。すると、予想通り。彼女のお尻から生える、一本の長くて柔らかい尻尾に辿り着いた。猫耳と尻尾はセットやもんなぁ、ホンマ日吉カップルグッジョブやね。俺が触れたことにより、名前にもその存在が意識かにおかれたのか、枕に顔を埋めて背中を向けていてもビクリと身体が大きく揺れたのが分かった。
「…ゆ、ゆうし、もしかして、」

「ああ、可愛らしい尻尾もついとるわ」

「…っ、ん」


話しながら、手の中にある尻尾を俺のを自分で慰める時みたく付け根を擦ると、くぐもった名前の声が漏れた。頭についている耳はへにょんと垂れ下がってるし、尻尾の先もヘロヘロと力なく左右に振れている。布団の中にいるとは言え、覆い被さる俺が態勢を少し持ち上げたらあっさりと俺の背中の坂を下って布団は全部めくれた。


「…、悪い子やね、名前」

「…?ゆ、うし?」

「いや、今は猫さんかな」

「なに?」

「…めっさ、かわええ、ホンマ。堪忍な」


止められへんよ、こんな。窓から降り注ぐ朝の日差しがベッドを照らし、裸でベッドに俯せになる名前の白い肌がキラキラと光ってるようだ。綺麗な背中、背骨の凹凸の表情、それが作り出す影すら美しくて愛しい。猫さんみたいなしなやかな背中やね。身体の中で猛る衝動をもはや抑えられないで、手の平でさっきよりも強く尻尾を弄った。弄りながら、もう片方の手を内股に滑らす。何度かなぞって、必死に声を枕に吸収させて殺しながら小刻みに震える名前を眺める。ええ加減、声我慢せんと、聞かせてくれたらええのに。いつまでたっても恥ずかしがり屋さんなぁ。まあ、そんなところが堪らなく好きなのだけれど。必死に堪えて堪えてそれでも漏れる甘い吐息が俺のこと掻き立てとるって、知っとんのかなぁこの子は。

指を滑らせて、足の付け根に辿りつく。昨日のまんまなので下着すら身につけてない名前のそこは、すでに沢山濡れていた。尻尾と耳、そんなにええんか。指先で撫でただけで、水が絡まるし、くちゅ、なんてやらしい音が鳴った。おまけに「…、ん」なんて声まで聞こえた。俺の下で俺の思いのままにされる名前は、圧倒的に弱い存在だ。それこそ、狼と子猫、みたいな。征服欲とかよろしくないものがうずうずと込み上げれば、自然と身体は名前の腰を支えて上げさせていた。所謂四つん這いのように膝を立たせて。でも、名前は腕の力が入らないのか上半身はべったりとベッドにくっついている。腰だけあげるなんて「いやらしい格好やね」。猫耳に囁いてやれば羞恥からか首を左右に振った。この態勢にすると、背骨が綺麗にしなって、ホンマ猫みたいや。自分でクスクスと笑いがおさまらないのを自覚しながら、もう本当末期やって。尻尾を尚も弄りながら、足の付け根あたりにある敏感な突起に逆の手で触れた。


「ひゃうっ…」

「ん、なき声まで猫さんみたいになったなぁ」

「や、ゆうし、だめ、」

「やめへんよ?」


突起と尻尾、どっちが気持ちええんやろ、なんて考えながら捏ねくり回していたら、さらにトロトロと水が溢れ出して手を濡らした。抱え上げた腰が小刻みに震えだしたから、ああ、もうそろそろか、早いなぁ。気持ちいいの頂点に向かう名前の限界を感じながら、今度は一気に中に指を突き入れた、2本。大丈夫やろ、2本くらい。やってこんなトロトロやし?案の定名前の中は柔らかく解れとって、2本くらい簡単に飲み込んで包んだ。中は既にぎゅうぎゅうと動いていてこれはもう直ぐにイッてしまうやろなぁ。ここに俺の入れたら気持ちいいやろなぁ。気持ちは逸る。あんまり弱いところや奥を刺激しないように緩く指を動かしたら、辛そうな鳴き声、ん、泣き声?どっちやろ。まあそんなんどっちでもええか。とにかく涙声で声を上げた。焦れったくてしゃあない感じで。もっと奥を刺激して欲しそうに中がきゅうっと締まる。そんな名前の心なんて手に取るように分かるくせに、俺は指を中から引き抜いた。

「あ、」

「はは、ピクピクしとる」

「や、ゆうし、」

「先に一人でなんかイかせん」


我ながら意地が悪い。やけど、俺ももう我慢の限界やってん。片手で尻尾の付け根を撫でながら、手早く避妊具を装着した。もう痛いくらい張り詰めとるそれを、持ち上げた腰を固定して名前のそこに擦りつけた。少し触れただけで、名前のトロトロな液体は俺のを濡らした。


「欲しいん?名前」

「、ん…」

「せやったら、ちゃんと言うて」

「…ゆうし、お願い」

「あかん、ダメな猫さんやね、言い方があるやろ?」

「…意地悪」


意地悪で結構、自覚済みやし。「名前は猫やしなぁ、あ、俺は飼い主やで、ご主人様やね、所謂」俺かて余裕ないくせに、努めて平気なふりをしてしまうのは名前があまりにも煽情的なのと俺の嗜虐心が擽られとるからギリギリまで彼女を辱めたいっちゅう迷惑な思惑の所為や。まあこの時間が俺は一番楽しいっちゅうか入ってはよ気持ちようなるのもええけど、泣きながら俺に早くとせがむ名前を見るのが趣味みたいなもんやから我慢してな、名前。きっと自分も、こうやって俺にされるの嫌いやないやろ?


「…はぁ、侑、士」

「なんや」

「……なんていえば、いい?」

「それは自分で考えんと。ご主人様に考えさせたらあかんやろ」

「…」


枕に顔を俯しているので表情は伺えない、けれどどんな顔をしてるかなんて隠したって無駄。恥ずかしがり屋な名前がその気になるまで入り口に擦り続けたり、尻尾の先を唇ではむはむしてたら名前はついにシクシクと泣き出してしまった。泣きながら、与えられる感覚に耐え切れなくて身をよじる。抱えた腰が揺れて余計にやらしいて気づいてないんかなぁ。耐えられんなら早く言うて、その口で。恥ずかしいとかそんな気持ち、俺の前では全部かなぐり捨てて、ただ、俺だけ求めとったら、ええやん、なぁ。「名前、」背中に口づけながら名前を呼んだ。


「…侑士、」

「ご主人様」

「…ご主人様、」

「なんや」

「…ご主人様、下さい、」

「下さい?」

「…にゃん」


あああ、なに今の、めっさかわええ、ホンマやばい破壊力抜群やん!さっきは恥ずかしいさなんか捨ててまえとか思っていたが、恥ずかしさで消え入りそうな声でのにゃんは堪らない、もうこの子は本当、どんだけ俺を虜にさせれば気が済むんだろうか。
「ええよ」、鎮められない笑みがこぼれながらだから、自分で思ったよりも切羽詰まった声だった。ぎゅっと腰を掴む力を強めて、一気に差し込んだら流石の名前も「…っひぁん、」と大きな声を上げて跳ね上がった。つか、やばい、中めっさトロトロ絡みついて熱くてこれは持ちそうにない。やって俺のもずっと限界やってん。自慢じゃないが、俺は名前がよがっている姿だけでイけるくらい名前が好きや、名前に弱い。この子の全てが気持ちええんや。


「…動くで」


数回、深く息をついてゆっくりと動き始めた。奥を突くたびに、「んっ」と名前の声が枕に吸収されずに部屋に響く。ぐちゅぐちゅと水音が鳴る。気持ち良すぎてどうにかなりそうや。
あんまり、後ろからってしたことなかった。後ろからは別に嫌いやない。むしろ、名前の白くてつるつるな背中を沢山見れるし、そこに動きながらキス出来るし。重力に従った胸を後ろから手を回して沢山触れるし。今なんかは二人の身体の間に挟まれた尻尾が擦れて擽ったいけど気持ちいいし。名前も、弱い尻尾が全体的に刺激されて丁度えう感じみたいやし。ピッタリと身体をくっつけるのが好きなんや。それに猫耳、なんだか、動物みいで結構興奮しとる、みたい。息が上がる、もう、限界が近い。先になんて真っ平なんで、名前の弱い奥をえぐるようにぐりぐりしたら奥からぎゅうぎゅうにしまった、ちょ、アカンてお前。


「…、んっ、あ、…ゆ、し」


なんでそんな寂しそうな声で泣くんや。俺も無性に寂しくなって、やっぱもう後ろからは無理。入れたまんま、腰を掴んで名前の身体を反転させて、いつもの向かい合う態勢。枕に隠れとった泣き顔がようやく見えて、名前もふにゃりと笑った。
ああ、これが一番ええね。後ろからもいいけど、名前の顔見れんとか、キス出来んとか我慢できん。正面ぎゅうっと隙間なくくっついて、腕の中で揺さぶった。名前も手を伸ばして俺の首にしがみついて、「ゆうし、ゆうし」とひたすらに俺の名前を呼ぶ。一番心地好え響きや。名前の中が小刻みに痙攣するのを感じながら、俺も名前への気持ちを囁く、「名前、…、っ好きや」猫耳の方に。瞬間、腕の中の名前はビクンて大きく跳ねて、俺のをきつく締め付けて、ああもうイってしまったんやなぁ。俺も締め付けに耐えられず、腰のあたりから身体中に迫り上げるようなゾクゾクとした感覚に呑まれながら、ゴムの中に吐き出した。




事後処理を簡単に済ませて名前の横に寝転んで再び布団を被り直した。折角の休日だというのに、とだれかは言うかもしれないが、折角の休日だからこそ、名前とこうしてベッドでイチャイチャなんていいう贅沢なことが出来るんだ。本当のところはもっと名前に触りたいなぁ、なんて思ったりもするんやけど、どうやら彼女はまた眠たくなってしまったようで、トロンとした表情で瞼を擦った。

ホンマ、猫やなぁ。耳の後ろのあたりを撫でてやったらうれしそうに笑う。そのうち、ゴロゴロと喉を鳴らすんじゃないかと思う。あんまりにも可愛いもんだから、唇に小さく何度もキスをした。


「ん、侑士」

「何?」

「…好き」


ああ、もうこの子は俺を掻き乱すのが得意やなぁ。猫、も、良かったけれど。本当の猫じゃなくて良かったと少し安心した。やって、もし名前が猫やったらこうしてキスとかぎゅうとか、それ以上の素敵なことだって出来ひんやん。そんなの、俺、死んでまうわ。やっぱ、人の形をした今のままの名前がええ。うとうとと眠ってしまった名前を見つめ、抱き寄せて、俺も再び眠りに落ちた。お互いに目を覚ましたお昼頃には名前の猫耳も尻尾もすっかりなくなってて、残念やったけど、まぁ、ええかな。



親愛と熱病、果てのない



いつだって、この子は俺の、可愛え女の子なんやし。
20090609
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