爆豪


お昼ご飯が終わって、おやつにはちょこっと早い合間の時間。お客さんの数が少なくなってきた某ファミリーレストランの端っこで、私と勝己くんはそれぞれノートとテキストを広げて黙々とお勉強をしていた。

「うぅ〜ん…なんかお腹空いた…」
「あぁ?てめぇしっかり昼飯食っただろうが」

……訂正します。黙々とお勉強してるのは勝己くんだけで、私は少し前から小腹が空いて集中力が切れ始めています…。何故…?お腹空かないようにたくさん食べようと思って、大好きなミラノ風ドリアとポテトまで食べたのに。勝己くんなんて、ペペロンチーノだけ注文してさっさっと食べ終えてからずっとお勉強してるのにお腹空かないのかな…?どうして…?たくさんかけてたタバスコに秘密があるの?私もタバスコたっぷりの辛いペペロンチーノ食べたら集中力続く…?

そんなことを考えながら未だにさらさらとペンを走らせる勝己くんを見ていたら、いい加減私の視線が気になったのか、ちょっぴり眉間にシワを寄せてこちらを見る。さっさと手を動かせって怒られちゃうかな?でも、今はちょっと休憩したい気分だから見逃してくれないかなぁとおもってへらっと笑って見せると、はぁってため息を吐いた勝己くんがバサッとメニュー表をテーブルに置いた。

「あれ?勝己くん何か食べるの?」
「ちげぇわテメェが食いてぇんだろ」
「え!食べて良い!?勝己くんもおやつにする?」
「あ?一人で食ってろ」

そう言ってテキストの次のページを捲った勝己くんは、さっさと店員さんを呼ぶボタンを押してしまう。ピンポーンという音を聞きながら、待ってまだ何にするか決めてない!と慌てて一番後ろのページを見ると、笑顔の店員さんがもう来てくれた。早い…!

「え、えっとあの、プリン…いやでもティラミスも食べたい…」
「デブになんぞ」
「うっ…でも食べたい…勝己くん半分こ、」
「しねぇ」
「うう…!じゃ、じゃあ、えっと…プリンください…」

かしこまりました。と店員さんが去って行って、勝己くんがメニュー表を片付ける。ティラミスも食べたかったけど、でも甘いもの食べたらもうひと頑張りできそう!そう思ってそわそわとプリンを待っている私の前に、勝己くんがノートの端に書いた数学の問題分を差し出した。

「えっ、なぁに?」
「おらこれ解け。プリンが来るまでに解けなかったら没収だ」
「えぇ!?聞いてないよ!」
「今言った。解け」
「……ちなみに、間に合わなかったときのプリンは…?」
「俺が食う」

えっ!勝己くんプリン食べるの!?なにそれ可愛い!!でも私もプリン食べたい!もう口があのちょっと固いプリンを求めてるんだもん!!
ぐっとどうしようか悩む私に意地悪な笑みを向けた勝己くんは、さっさとやらねぇとゲームオーバーだぞって私を急かす。プリンを取るか、プリンをたべる勝己くんを取るか、悩みながら出された問題に取り組んだ時点で、結果はほとんど決まっていた。











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