アーロンがわたしを抱いた。
アーロンの指は固い、武人の指をしていた。そして、死人の指は冷たかった。ゆび。冷たい腕に抱かれ冷たい胸に顔を埋めて冷たい唇に愛撫されたというのに、思い出すのはその指のことばかりだ。

冷たい指がわたしの薄い胸を擦る。体温のない口内が頂を食む。
いとしい、いとしいひと。ずっとずっと好きだったの。
わたしは切れ切れに語りかける。
アーロンは、いつもの渋面を余計に歪めて、荒々しく口づけをする。言葉はもうキスに飲み込まれてしまった。アーロン。すき。心の中でつぶやく。喉の声は消せても、心の声は消せない。

その間も彼の指はぎこちなくわたしの胸をまさぐり、ぎこちないと思うのに、わたしの息は上がっていく。

ふと、彼の指がわたしの胸から離れて腹へ、そしてその下へと向かうのを感じた。わたしはもう涙目で訳が分からなくなる寸前だったけれど、羞恥からその手を抑える。アーロンは、ふ、と顔を緩めた。わたしにはそれが彼の優しい笑い方だとわかっている。あいしているから。
そしてやっぱりぎこちないキスをおでこに落とすと、アーロンはその指をわたしの秘所へと進めた。
ソコはもうとろとろにとろけきっていて、まるで初めてとは思えないくらいだった。自分がこんなにも、全身がとろけるくらい熱くなって、頭がジンジンして、ひとりの男を欲するなんて、夢にも思ってなかった。
指が秘所に到達すると、その固い指先にわたしの体はブルリと震えた。

ふと離れると、彼は言った。
「怖いか。」アーロンは勘違いをしている。
「嬉しいのよ。」想いは言葉にしなければ伝わらない。

そう答えると、アーロンはもう一度わたしの唇に彼のそれを重ね、重ねたまま、中指でわたしの中心を貫いた。
彼の太い指が、わたしの中をやわやわと蠢いている。わたしのとろけきったナカは彼のそれをいともたやすく飲み込み、潤ませていく。
気持ちよくて、嬉しくて、気持ちよくて、意識が飛びそうになる。
でもジンジンする頭の隅はどこか、クリアに澄み切っていて、ずっと彼が死人であることを感じていた。そのことがわたしをとても悲しくさせていた。

「なぜ泣く。」
アーロンはその指を止めて、彼とは思えないほど穏やかにつぶやいた。
「あいしているから。」
わたしは答えた。

アーロンの指はくちびるは腕は胸ははわたしの熱を奪う。わたしは際限なく熱を発し、彼はその熱を受け止めて、その指は、いまや温かみさえ帯びていた。



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