白昼夢





 春麗らかな縁側で日向を浴びていると、暖かさにうとうとと舟を漕いだ。夢と現実の狭間で、白がはためいた気がして咄嗟に手を伸ばす。

「お帰りなさい」

 自分の声で一気に目が覚める。掴んだはずの白は瞬く間に消えていた。何度も見て来た夢に、耐え切れずに瞳が潤む。
 そっと空を見上げた先に満開の花。
 
「また、桜が咲きましたよ」

─貴方がいない春がまた巡る。







2018.スパコミ 無配SS





2018.05.05





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