春をつかまえた






 見上げた先に青い空と薄桃が映えて、その眩しさにそっと目を閉じた。花びらが風に舞う。瞳を開けるとそれは、髪に触れ頬を掠め、手のひらの上でまるで踊るように舞っては離れて行く。
 一度は手放してしまった花びらを、風に攫われてしまう前につかまえた。

 今度は二度と離れないように、離さないように、ぎゅっと。





2018.05.05





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