戯れにするには遅すぎる





 酔いが回り始めた脳は、今まで幾度となく浮かんだ言葉を並べるも、僅かに残る理性がそれを蹴散らした。隣で上機嫌に鼻歌を歌いながら、丸い月を見上げる女を、杯を傾けるふりをして盗み見る。

 綺麗な女だ。

 芯まで穢れのない女だった。自分が手折っていい存在ではない、のに。

「ぎんさん」

 頼むから、そんな嬉しそうな声で、名前を呼ばないで欲しい。月をとらえるふりをして上げた手が、女に触れてしまいたいと、悲鳴をあげているのを堪えているのに。





あとがき:

昨年の秋に書き途中で放置していたのを
発見して書き上げたものでした。
銀→→→←妙具合が好きですねぇ。

*画像には文字が足りないところがあります。
もう修正せずにそのまま使いました…笑



2018.01.17





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