似ている二人 ((秋→)円→一→秋) ※時系列は2期中盤くらい?かな? 円堂は知らないだろう? 秋たちは、一之瀬一哉と円堂守の二人をどういう風に見ているか。 似てるって、言ってたんだ。 似てる。 まあ気持ちはわからなくも無いさ。 だって目は大きいし、茶髪だし、体型もほとんど一緒だし、何より輪郭が丸くって外見はどちらかの髪型に合わせれば間違えられるくらいそっくりすぎるんだ。 前に一度合宿の時に大浴場で土門の前に二人して立ってみたら、どっちがどっちだかわかりづらいって笑っていた。 実際髪の毛がぺったんこだった俺らは綱海に凄く驚かれたし、(ドッペルゲンガーだ!って。)風丸も一瞬どっちに話しかけるか躊躇いがあったし、リカも風呂上がりに円堂と俺をじっくり見てから数分後俺に抱きついてきた。 そんなに似てるか? 一之瀬は少しばかり苛ついていた。 円堂はいい奴だ。俺も別に、好きだけれど、さ。 一之瀬を不機嫌にさせる根本的な原因は秋にあった。 彼だって気づいていた。本人に聞いて確認してみたら案の定図星だったのもあったが、秋の円堂を見つめる視線にはいつも特別な色を発していることくらいわかっていた。 だからこそ嫌なのだ。 何故、俺と円堂は似ていると言われなきゃいけないのだろうか。 「なあ、一之瀬」 「なんだ円堂?」 「俺と似てるって言われるの、そんなに嫌か?」 一緒に歩いていた円堂は不安な顔をしながら俺を覗き込む。先程も塔子に似ていると言われたばかりで、そんなに感情が顔に出てたかとちょっとばかり焦った。 「えっと、まあ、好きではないかな」 「そうなのか」 「人とそっくりよりも個性があった方がいいだろ?」 「アメリカンだな」 円堂はにっこり笑って、だけど俺は一之瀬と似てるって言われるの好きだよと照れたように笑う。 「そうなんだ…」 残念、俺は凄く嫌いだ。 とは言えるはずもなく(俺が嫌いなのは円堂ではなく、彼と似ていると言われることだからだ)ほとぼりが冷めるのを待つばかりだ。 すると円堂は沈黙に痺れを切らしたのか、はたまたとても気になったからなのか、以前俺が彼に言ったことのある台詞をぶり返した。 「前に言ってたよな、秋が俺達のことをどう見てるかって。」 「ああ」 「他の人から見てもやっぱり似てるんだな、俺達」 「…そうなのかな」 「…あはは」 険悪な雰囲気に苦笑いを浮かべた円堂は閉口するかと思いきや、なんの化学反応が起きたのか突如として饒舌になった。 「俺と一之瀬は凄く似てると思うよ。外見も、…中身も。凄く似てる。一之瀬は嫌かもしんないけどな、俺はスッゲー嬉しいよ」 ムッとした。 一番言われたくない台詞を言われ、円堂の前であったが一之瀬は珍しく自分の負の感情を隠せないでいた。 「別に似てない」 はっきりと断言する。が、わかっていた。俺と円堂は似ているんだ。外見だけならまだよかった。 何故だか中身の至る所までそっくりで、諦めの悪いところとか色々な面での発想とか、気持ちが悪いくらいドッペルゲンガーなのだ。 だからこそ嫌だった。 自分と中身も外見もそっくりそのままな円堂よりも自分が劣っていると感じることが。 円堂は兎に角人望が篤い。俺は比較的人望がある方だとは思っていたけど、そこまでの交流を持てるほどの万人受けをするタイプではない。 フィールドではポジションが違うから優劣はつけがたいけど、何より秋に好かれているのは『自分にそっくりな円堂守』というのが物凄く気に食わなかった。 「なあ、そっくりだ」 「違う!」 「一途なところとかなっ」 茶化すように笑う円堂。唐突な切り返しに呆気にとられた。 「…え?」 まさか、円堂も秋が好きなのか…? 背筋が凍る。冷や汗が流れだし、これから円堂の前では作り笑いも出来ないんじゃないかというくらい心が冷え固まった。 「なあ一之瀬」 「な、何?」 「好きだぜ」 「…は?」 「ばーか!」 少し悲しげに、円堂は笑った。 俺はきっと阿呆みたいな顔をして突っ立っていたのだろう。円堂は目を細め、嘘じゃないよと真剣に呟いた。 >>秋→円→一→秋。 楽しいいいい楽しい超楽しい。 一之瀬の感情を汲み取るの大好きです。一之瀬ぇぇぇぇぇのせぇぇぇぇぇ 普段は円→一は書かないけど、円堂いると華が生まれる(と思うよ!)ので書きました! 一→秋→円かけたらまた書きたいです。凄く好き。うおおお |