※無印とLC混在
※SS
※水瓶中心にごちゃごちゃやってるだけ



水と氷の以下略の認識

「デージェールー」
「……何の用だ、カルディア」
「涼みに来た!」

胡乱な視線を向けるデジェルにけろりと笑って答えるカルディア。

「宝瓶宮は避暑地ではないぞ」
「かてぇこと言うなよ! 実際ここ涼しいんだからよー」

居座る気満々である。これは何を言っても無駄だろうとデジェルは溜息を吐き、カルディアを追い出すことを早々に諦めた。実際今日は呆れるほど暑いので、デジェルとて無駄な騒動で汗をかくのも体力を浪費するのも御免なのである。

「……好きにしてくれ」
「さっすがデジェル! ついでにもひとつ頼みを聞いてくんねえ?」

今度は何だとデジェルが視線で問うと、カルディアはごそごそと真っ赤な林檎を取り出してテーブルに載せた。

「これ凍らせてくれ、冷凍りんご食いたい」
「………………」

直後デジェルの小宇宙が高まり凍気が発せられたが、凍ったのは林檎ではなくカルディアだったというのは言うまでもない。



天然クーラーだもの

「カミュよ」
「どうした、ミロ」
「俺の半径三メートル以内に近寄らないでくれぬか」
「……は?」

唐突かつ訳の解らない拒絶に、常にクールがどうこう言っているカミュの表情もさすがに崩れた。

「お前が近寄るとただでさえ寒いのに余計寒くなるのだ」
「夏は散々冷房扱いしておきながらその物言いか」
「仕方ないだろう! 俺はお前と違って寒さにあまり強くないのだ!」

両腕をさすりながらぎゃーぎゃー騒ぐミロ。確かに、シベリア暮らしが長く、水と氷の魔術師という異名で呼ばれるほど凍気に親しいカミュとは異なり、ギリシャ育ちのミロに寒さの耐性がないのは頷ける。きっちりと着込んでいる様からしてよほどの寒がりなのだろう。

「大体なんだその格好は正気か? 何故この極寒の地でタンクトップで涼しい顔をしている!?」
「宝瓶宮を極寒の地呼ばわりするな」
「デスマスクとて『宝瓶宮は北極だ』と言っていたぞ!」

あの蟹、次会ったら冷凍してくれる。そうカミュが思ったかどうかは定かでない。

「ともかく! 悪いが冬の間は俺に近寄らないでくれ、寒い!」
「……ならばいっそ、寒さなど感じぬようになればどうだ」
「な、なんだその不穏な言葉は」

じりじりと、ミロに近寄るカミュ。幾らか低くなったカミュの声に、ミロの顔色がさっと青ざめた。

「氷河に聞いたのだが、フリージングコフィンの中では感覚がないそうだぞ」
「待てカミュ早まるな」
「春まで氷の棺で冬眠させてやろう」

怒りも顕に禍々しい小宇宙を立ち上らせたカミュと、泡を食って逃げるミロの鬼ごっこが開始されたのは直後のことである。


水瓶座の宿命と書いてアクエリアスのおやくそくと読む


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140801



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