※無印とLC混在
※SS
※蠍中心にごちゃごちゃやってるだけ



ほらポニーテールとか

「カルディア」
「んだよ?」

呼ばれて振り向けば、ぱしんと軽い音が響く。
ああまたか、と些か辟易しながら音の発生源に目を向ければ、デジェルの顔面寸前で受け止められている、蠍座のヘッドパーツ、蠍の尾を模した長い装飾部分が。

「……もうお前はヘッドパーツを被らない方がいいんじゃないのか」
「なんでだよ」
「毎回毎回ヘッドパーツのことも考えずに勢いよく振り返るから、顔面に向かって尾が飛んできて迷惑なんだ」
「そんなの避けられないで聖闘士務まるかよ」
「それはそうだが」

さすがにお前も嫌にならないか、と問いかけながらデジェルは掴んでいたパーツを離す。
ぶらんと重力に従って落ちるそれに、デジェルたちはともかく、鈍臭いサーシャがこれにぶつかったら痛がるだろうなとカルディアはぼんやりと思う。

「……シオンに相談してみるか」
「何をだ?」
「聖衣改造できねえかだよ」
「おそらくあいつは怒り狂うぞ」

そんな理由で聖衣を改造するなんてとんでもない! と憤るシオンが容易に想像できてデジェルはくすりと笑う。
親友の珍しい笑顔に、カルディアもまた、違えねえやと笑みを零した。



蠍踏んじゃった

「うおわあっ!?」

ガッと硬いものが引っかかる音と、連続して聞こえたべちゃっと顔面から教皇の間の石畳に衝突したらしい音に、内心またかと溜息を吐きながらカミュは傅いていた姿勢から立ち上がった。無論カミュの表情は信条通りの無表情である。

「またか、ミロよ……」

教皇シオンは隠すこともなく呆れた顔で溜息を吐いた。
カミュやシオンが呆れたように、ミロが立ち上がる時自身の聖衣のヘッドパーツを踏んづけて転ぶのは今に始まった話ではない。聖衣を授かって日が浅いとはいえ、こうして何度も同じことを繰り返していれば溜息も吐きたくなるというものだ。

「まだ幼いとは言え聖闘士がそのような有様でどうする」
「無様だぞ、ミロ」

手を貸すこともなく冷たい言葉を浴びせかけるシオンとカミュに、ミロは素早く起き上がって反撃する。

「ならシオン様もカミュもこれ被って生活してみろよ! 長いから踏んづけるし、振り向くたびに近くの人の顔面打つし大変なんだぞ!」

きゃんきゃん吼えるミロに、シオンはかつて先代蠍座が同じような理由で聖衣の改造を求めて白羊宮を訪ねてきた二百数十年前のとある日を思い出す。勿論即座に追い返したが。しかし今思えば要求通りヘッドパーツを短くしてやった方が良かったかもしれんとシオンは遠い目をして呟いた。

「……ムウに相談してみよ」
「『馬鹿を言わないでください』と追い返されるのがオチかと」
「俺もそんな気がする……」

教皇の間に、溜息が三つ重なって落ちた。


蠍座の宿命と書いてスコーピオンのさだめと読む


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ネタを提供してくれためぐむしゃんに感謝を込めて。
140801



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