寝た蝶 | ナノ




荒木荘シリーズ

『Says love!』
洋館に住む歴代ボス達と性悪天使。最強幼女に振り回されるボス'S。
荒木荘といいつつ洋館なのは私の趣味です。飾り立てられ愛でられるけどだれも本当の愛はくれないからひねくれてひねくれ切った女の子と、愛何それ食べれるのなボスたち。
彼らなりに精一杯愛情を注いでいるのだけれど、両者ともいまいち理解できていない。
すれ違ったり無意識にいちゃついたりぐだぐだしたり罵倒されたりするお話。

アンジェリカ
8歳か、4歳。いっそ両方。あと14歳、17歳。選べない
ふわふわで長いブロンドと光の加減によって青にも緑にも見える碧眼。
愛らしい見た目にそぐわず口と態度は最悪。性格はどこまでも素直じゃない。わがまま、口が達者、泣き虫。
嫌われたくなくて少女趣味を受け入れるけど、ボスたちもアンジェリカが喜んだから贈り物を続ける。そんな名作的なすれ違い。ディスコミュニケーション。



 重いまぶたよりもっと重たい髪をかき上げる。DIO達は金糸だの太陽のようだのと言ってくるけれど、私には理解出来ない。ふわふわとやたら絡まる、煩わしくてしょうがないだけのものだ。
 朝から機嫌の悪い私の脳裏によぎるのは、天蓋付きのベッドとか春風になびくシルクのカーテン、その間からのぞくレースカーテンとか、とにかく乙女チック少女趣味な生活を強いる6人の馬鹿。本当はこんな髪なんか切りたいし、香り高い百合の花束も、なんのお腹の足しにもならない紅茶やスコーンなんかも大っきらい!そして本当に嫌いなのは、そんなのを私の好みなんか無視して押し付けてくるアイツらだ。
 
「もっと嫌いなのは……それをはっきりいやって言えない私よ」

 吐き捨てるように独りごちる。
 嬉しそうな顔をして白いレースのリボン。血まみれの手の平で朝摘みの薔薇。微笑を浮かべてメリーゴーランドがいっぱいに書かれたワンピース。むつかしい顔をしながら、それでも口角だけは微かに震えて、パールのネックレス。何も読み取れない無表情で総レースの手袋。不遜な態度で無駄に飾り立てられたアンティークドール。
 真鍮のオルゴールと、私をムカデか何かと勘違いしているのか馬鹿みたいな数のシューズ。頭は一つ、ハットケースとリボンは数え切れないないほど。猫足の家具に世界中の色よりもっと多いマニキュア(そのくせ爪はそのままが一番魅力的とか宣う。頭が悪いんじゃあないかしら)、やっぱり色とりどりパステルカラーのマカロン。

「マカロンだかマコロンだかしらねーですけど、あんなん食べた気がしないわ!食べ物なんて、お腹が膨れればよかろうなの!」

 はずみをつけてから、ベッドを思い切りよく起き上がる。弾むスプリング、ひらひらぴらぴらと鬱陶しいベビードール、やはり邪魔なだけな長い長い髪。こんなの無駄、無駄よ!

「ディアボロの、貧弱ううううううう!」



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