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・・・どうしよう・・・。


昨日の午後、冷や汗を流しながら必死にお断りしたお誘いは、
「じゃ、明日の夜ね。それなら、親御さんの許可も取れるでしょ」
と言うヒバリさんの有無を言わせない提案によって、今日に持ち越されただけとなった。
家に帰って母さんに言っても、
「あら、お友達の家にお泊り?それは楽しみね〜。失礼のないようにするのよ?」
なんて呑気なことを言うだけだし、リボーンに至っては
「ヒバリにしっかり鍛えてもらえ」
なんて見当違いなことを言う始末。
いや・・・もしかして見当違いじゃないのかも・・・アイツそういいながら、ニヤニヤいやな笑いを浮かべてた・・・。

そうして準備だなんだと慌ただしく時は過ぎ、心の準備も出来ないまま、ヒバリ家の客間に通されてしまったのだ。
ヒバリさんはお茶を淹れに行ってくれてて・・・
・・・逃げ出しても、いい、かな・・・。
いや別に、お家に呼んでもらったのは普通に嬉しいし、一日中一緒に過ごせるなんて片思いの頃から見たら天国なことなんだけど・・・。
横に置いた荷物のふくらみを、横目でちらっと見やる。
バッグのポケットに入れたトランプ。ヒバリさん、やるって言うかな・・・やらないよな・・・。
あの公園での様子からしたらきっと・・・。
お、俺だって別に嫌な訳じゃないんだけど!でも、でもさ!もう少しこう時間をかけて・・・と言うか、まだ付き合い始めて十日くらいなんだし、ただでさえ叶うはずないって思ってた片恋だから付き合ったらどうするなんて考えてなかったし、しかも俺たち中学生だし風紀乱してるし!
・・・なんてことをヒバリさんに言ったところで、鼻で笑われるのが落ちだ。
普段使わない頭をフル回転させている内にくらくらして来て、目の前の卓袱台に突っ伏してしまう。
なんていうか、その、俺・・・。
「・・・しちゃうの、かな」
「何を」
突然降ってきた返事に吃驚して飛び起きれば、すぐ横にヒバリさんの顔。う。心臓に悪い。
「熱いから、気を付けて」
そういいながらお茶をおくヒバリさんの様子はとても落ち着いていて、なんだか俺だけが舞い上がっている様に見えた。
ヒバリさんはそのまま向かい側の席に座り、お茶を啜り始める。
そんな姿も、ひどく優雅だ。
「沢田」
「はい」
「セックスする?」
「ぶほおっ!」
思わず見とれていた俺はその一言で派手に吹き出してしまった。お・・・お茶口に入れてなくてよかった・・・。
「・・・何してんの君」
「ヒバリさん!」
ドン、と卓袱台に手をついて目の前で涼しげな顔をしている人を見据える。そうきっと、目を逸らしたら負ける。
「お腹すきませんか!」
・・・我ながら、もうちょっといい話の逸らし方はないもんかとも思うけれど、あいにくそんな機転は持ち合わせてはいない。そんなものがあれば、今頃ちゃんとヒバリさんを説得出来てる。
ヒバリさんは少し考える素振りを見せたが、すぐに立ち上がった。
「・・・夕食に、しようか」

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