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微エロですがエスカレートしていくかもしれません。



「では、こちらに委員会会議用の資料を置きますから、本日中に目を通しておいて下さい」
草壁は修正箇所のある書類をすばやくまとめ、一礼をして扉を開けようとして、その場で足を止めた。
「差し出がましいことを申しますが・・・委員長」
「何」
「口元が・・・緩んでおります」
はっとして口に手を当てている間に、草壁は静かに応接室を出て行った。
人差し指と親指で口の両端を押さえ、下方向に下ろすように撫で付ける。
・・・仕方ないじゃないか。
昨日の沢田の顔を思い起こすと再び口元が緩みそうになり、慌てて引き締める。
恋人同士の営みにあまり積極的でなさそうな沢田を、どうたらしこ・・・いや説得するか悩んだ一週間。
昨日の帰り道、彼の口から出た言葉は衝撃的なものであった。

「俺、ヒバリさんと二人きりで、ゆっくり・・・したい、です」

・・・少し言葉は違ったような気もするが、概ねそんな内容であった。
知らなかった。沢田がそんなに積極的だったなんて。
しかも、あんなところやそんなところは僕だけに見せたいなんて、あの可愛い顔で面と向かって言われたりしたら、口元だって緩むものだろう。
ふと口元に当てていた右手を下ろし、手のひらを上にしてじっと見つめてみる。
そのままそこに唇を当てぺろりと舐めれば、ほんのりと沢田の味を感じる気がした。
沢田のものは体のサイズ通り、小さくて柔らかくて、彼そのものと言った感じでとても可愛かった。
ほんの一瞬しか触れなかったが、もう少し弄ってやったらきっと甘い蜜をとろとろと零すのだろう。
想像すると堪らない。早く見てみたい。

今朝家の前まで沢田を迎えに行くと、彼は僕の姿を見つけたと同時にぱあっと顔を真っ赤にさせた。
それを見たらがまんが出来なくなって彼の顔を両手で挟み、その舌を存分に貪った。
存分に堪能したところで離してやると、沢田は真っ赤な顔のままきょろきょろと辺りを見回した。
・・・これも、他人に見られたくないことなのだろうか?
彼は相当恥ずかしがり屋らしい。
まあ、そんなとこもイイんだけど。

こんこん、とノックの音が聞こえ「どうぞ」と声をかければ、予想通り沢田が顔を見せた。
まあ、この時間以降はこの子以外は誰も応接室に近づけないよう指示しているのだが。
入って来た沢田をソファーに座らせ、僕も執務用の机から隣に移動する。
彼の膝の上に置かれた小さな手の甲に優しく触れると、華奢な体がびくんと跳ね上がった。
緊張しているのかプルプルと震えている。狼を前にしたウサギ、と言った感じだ。長い耳が見える。
「ねえ」
耳元で囁くと再びびくっと震えた。ほんと、食べてしまいたい。
「今晩、僕の家の泊まりにおいでよ」
沢田は無言で僕の方に顔を向けた。吃驚した様に目を見開いて。落ちそう。
「今日、誰もいないんだ。だから・・・」
僕はふっと笑みを浮かべると、秘密を打ち明けるかのように声を落とした。

「二人きり・・・だよ?」

低音で囁くと、沢田の体が・・・。
凍った。
まるで吹雪にさらされているかのように固まっている。
「ア、アノ!デモソンナコトキュウニイワレマシテモ!」
「・・・・・・・・・」
「カアサンニモイワナキャイケナイシ、マタコンドトイウコトデ!」

・・・なんでこの子、いきなりロボットなの。訳わかんない。

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