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連れて行かれたのは校庭だった。
そこにはなぜか朝礼の時のように、全校生徒が集まっている。
訳が分からなくてヒバリさんの顔を見上げると、ふわりと、さっきと同じ極上の微笑を向けてくれた。
ああ俺、この笑顔が見れただけでもう何もいらない!
「宣言、するよ?」
うっとりとその表情を堪能していた俺は、はっと我に返った。
宣言・・・宣言って・・・
全校生徒にかい!!!
いやよく考えろ自分、相手はヒバリさんなんだから、全国の皆さんでないだけましだと思うべきじゃあないだろうか。
ここは心を広く持とう。でないとこの人とは付き合えない。
気を取り直して笑顔を返し、ヒバリさんについて朝礼台に上がった。
ヒバリさんは相変わらず凛とした様子で(こんな時でも見惚れてしまう)壇上のマイクに近付いた。
「並盛の全校生徒に伝えたいことがある」
ああ何でこの人こんなにかっこいいんだろ。こんな人とお付き合いできるなんて、俺ってすごく幸せ者かも!
「今日からここにいる沢田綱吉と僕は」
これって、公認の仲って奴だよね?
「結婚する」
結婚かよ!!!
俺は慌てて後ろからヒバリさんの袖を引っ張った。
「ヒバリさん!日本では男同士は結婚できないんです!」
そういう問題でもない気がするが、とりあえずそう耳打ちすると、ヒバリさんはふん、と鼻で笑った。
「知ってるよ、それくらい」
「じゃあ・・・!」
「男同士の場合は養子縁組をするんだよ。僕年上だから父親ね」
って、急に現実的な話になったし!
「そ、それに、まだ未成年だからそれも無理ですよ」
「大丈夫、僕が法律だから」
「それなら最初から養子じゃなくて、結婚にすればいいじゃないですか!」
「・・・やっぱり親子より夫婦の方がいいんだ」
考えとくよ、と言い残してヒバリさんは先に壇から降り、さっさと校舎に入って行ってしまった。
跡に残されたパニック状態の全校生徒たち。
この状態を、俺にどうしろと・・・?
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