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えーとえーと・・・なんだか頭ん中こんがらがっちゃってよく判らない。
付き合えって言って、いいよ?あれ、それって・・・。
「あの・・・ヒバリさん?」
「ん?」
「じゃあ何で、一昨日俺が登校した時あんなに怒ってたんですか?」
少しの沈黙の後ヒバリさんはようやく抱きしめる力を緩めて、鼻と鼻十センチの距離で俺の顔を覗き込んだ。
「だって君、他の奴らに愛想振りまくから」
!愛想って・・・ていうか、え、もしかしてあれですか。
やで始まってちで終わるやつ!
「ヒバリさん・・・」
なんか感動して呼びかけの語尾がふにゃふにゃになってしまった。
だって、だって一生片思いで終わるはずだった初恋が・・・!
「付き合うからには、僕以外とは口利いたらだめだよね?」
・・・・・・・・・・・・・・え?
「もう僕以外の奴を見たり、笑いかけたりしたらだめだよ?」
だめだよって・・・そんな小首を傾げられたりしたら思わず頷きそうになってしまう・・・。
いや!だめだ!ここでの返事に俺のこれからの人生がかかっている気がする!
俺は気持ちを落ち着かせるために、大きく深呼吸をした。
「えーと・・・日本国憲法の中にはそんなルールありましたっけ?」
「僕がルールだから」
そう来たか!
「えーと、でも・・・そうすると俺、普通の学生生活が送れない事になりません?」
「必要ないでしょ」
「あります!!!」
俺はヒバリさんの腕を掴んでぐいっと引き剥がした。
ヒバリさんは口をへの字にして眉をしかめている。
「普通の生活が送りたいの?」
「もちろんです!」
「・・・・・・わがままな子だね」
「どっちがだああああ!」
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