「薬物取扱注意」


雲雀の卒業をきっかけに告白、晴れて恋人同士にはなったが、ツナの高校合格まではと清い交際を続けていた。(一度してしまえば抑制する自信などなかったし、そうしたらそうしたでツナの高校浪人は免れないと思われたので)
だから合格発表の日の夜は、一晩中離さず思う存分むさぼり倒した。
それから一年。
同じ並盛高校に通い、喧嘩というほどのいさかいもなく、お互いに良い関係を保っている。ほんの小さな、温度差を除いては。
あの初めての日に雲雀を受け入れた控えめさは、今でも変わらない。それは雲雀にとって、小さな不満となっていた。
身体の関係を持って一年も経つのだ。もう少し積極的になってもよいのではないか。
そんな気持ちを胸に燻らせていたある日、風紀の取り締まりで怪しげな薬品を手に入れる。いわゆる「媚薬」
雲雀も男、もちろん興味はあった。が、そんなものに頼る気などさらさらなかった。
そんな中、ツナが長期休みに友人と旅行に行くことを告げる。本人は気付いていないようだが、その[友人]がツナに気があることは周りの目に明白であった。
「あいつは君の身体が目当てだ」と吐き捨て、中止するよう命じたことで、喧嘩になってしまう。
ツナの気持ちに不信を抱き始めた雲雀は、焦り、身体でつなぎとめようと考える。
翌日ツナを人払いをした応接室に招き、「言い過ぎた」と謝って仲直りをすると、気を許した彼に媚薬を盛る。
効き目は抜群で、もっともっととねだるツナに興奮し、求められるままに何度もイかせ、自らの腰を打ちつけた。
が、三度目の挿入に挑もうとした時、何やらツナの様子がおかしいことに気付く。
焦点が合わず、ろれつが回らなくなっていたのだ。
やがて止められないというように腰を振りながら、「こわい、こわいよう」と泣きじゃくり始める。
慌てて医者を呼ぼうと起き上がるが、
「いっちゃやだ、怖い、そばにいて」としがみつかれれば、振りほどくことも出来ない。
棚の上にある携帯さえ取りに行くことも出来ずに途方に暮れ、ただその体を強く抱きしめてやるだけだった。
やがてツナが気を失うと、ようやく草壁を呼ぶことが出来た。草壁はその有様を見て言葉を失ったが、黙って医者を呼ぶ。
医者の問いに正直に答え診察をしてもらった結果、
「媚薬が効きすぎたんでしょう。軽くパニックに陥ったようですね。あと、彼は少し風邪気味なようです。微熱もある。体調不良も原因かもしれません。いずれにしても、こういった薬品は体質によって副反応を起こしやすいですから、気を付けないと」
医者が帰った後、見かねた草壁が雲雀に意見しようとしたが、雲雀のあまりにも落ち込んだ様子に何も言えなくなってしまった。
まだ目を覚まさないツナを抱え自宅に連れて行き、自室のベッドに寝かせる。
後ろから心配そうに覗き込む奈々に、医者から処方された風邪薬を渡し、起きたら飲ませるように頼むと、
「ありがとう。でも、つっくんはこの半分でいいの」
「・・・え?」
「この子、小さい時から薬が効きすぎてしまう体質らしくて、適量の半分でいいのよ」
知らなかった事実に呆然となり、座り込んでツナの寝顔をじっと見つめていたかと思うと、その瞳からはぽろぽろと涙があふれ出した。
「僕は、この子にひどいことをした」
涙と共に懺悔が溢れ出る。
「怖くて・・・この子がどうにかなってしまうんじゃないかって、すごく、怖かった・・・」
いつの間にか変わり始めたしゃくりあげるような激しい嗚咽に、そこにいた奈々も草壁も何も言わなかった。
落ち着いた頃、大丈夫だからという奈々に「ついていたい」と申し出、ツナの手を握って見つめていると、やがて目を覚ました。
「雲雀さん・・・?」
「大丈夫?気分は悪くない?」
ひとしきり容体を確認した後、雲雀は項垂れる。
「僕は君に、ひどいことをしたんだ・・・」
不思議そうな顔で見つめるツナに、全てを話そうとするが、話せば嫌われてしまうだろうと思うとなかなか切り出せない。珍しく躊躇う雲雀に首を傾げながら、
「よく分からないんですけど・・・いまおれが気持ち悪いのって、雲雀さんがひどいことしたせいなんですね?」
「・・・そうだ」
「雲雀さんがここにいるのも、そのせい?」
「・・・そうだ」
ツナは少し考えるそぶりを見せてから、
「じゃあ、こんな夜中までこうして一緒にいられるのって、雲雀さんのおかげなんですね?」
と笑った。
雲雀は吃驚した顔で一瞬固まった。
そして突然ツナを抱きしめ、また涙をこぼし続けるのだった。


終わり!


なんか、媚薬ネタな割には、えろどーでもいいって感じですね・・・。
あーでも、漫画にするならHシーンもパニクるシーンも、ガッツリ激しい方が面白いかも。
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