檻Y








ビィィイイ――――――――――――――――!!!!









突然けたたましく鳴り響いた警告音が





「あの時」をフラッシュバックさせた











「―チッ…、」




覆い被さっていた褐色の肌が

苛立ちを隠すことなく舌打ちをし






「―オウジサマ、ってキャラでもねぇだろ」








カチャカチャと即座に着衣を整え
臨戦体勢を取り
扉に向き直る





その間にも警告を示す赤いパトランプは室内を照らし


そう離れていない距離で爆発音が響き
煙が立ち込めているのが窺えた





ああ これは





「―!――!!」





この一連の流れを

俺は知っていた





「―――!」





ドゴォォオン





轟音と共に
扉が勢いよく跳ね飛んだ










「フン…毎度ご苦労なこったな、八神…!」







俺がネスツに拐われて
実験体にされていた時と同じ――















「…京を、返せ」














情けないけど
その赤い髪
その低い声に








(やがみ…)








これ以上になく安堵して


もう言葉は出なかった









「お前の"オヒメサマ"





……もうキズモノにしちまったけどな」









ニヤリと紅い舌を出して挑発する体に









「…死ぬ前に要らん事を」








怒り、という言葉では足りない気迫に
ピリリと空気が凍り付いた








そこから先は



もう、よく覚えていない―――










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