愛の賛美歌
「だからどうしてそういう格好ができるんだ!」
「そんな怒んないでよぉ」
あぁまたやってるよ。
ハリーは朝ごはんのシリアルを頬張りながら、今日も仲良く喧嘩をする2人を見つめる。
今日はハリーのホグワーツ入学の日なのに、そんな日でも2人は相変わらずであった。
「どう思う、ハリー?シリウスったらひどいのよ!私におしゃれするなって言うの」
「ハリーに聞くのはずるいだろナマエ!」
僕を巻き込まないでとハリーはため息をつく。
空色のワンピースを着たナマエはとっても綺麗だけれども正直、ハリーもナマエの胸元の開いたワンピースは目のやり場に困ってしまう。
僕はもう11歳なんだよとハリーは思った。
「ナマエは何着ても素敵だと思うよ」
「ほら!ハリーだってそう言ってるじゃないか!早く着替えろ!」
「シリウスは綺麗な服着た綺麗なナマエを他の人に見せたくないんだよ。ナマエ、わかってあげて」
「なっ!ハリー!!」
「ごちそうさまでした!」
もう知らないぞとハリーは出発の時間まで部屋にこもることにした。
シリウスはもうちょっと素直になればいいんだ。
でないと鈍感なナマエには伝わらないだろうとハリーは考えながら最近出会ったヘドウィッグの頭を撫で、カゴへ戻す。
きっと今頃、食卓では真っ赤な顔をしたシリウスが真っ赤な顔をしたナマエに愛を伝えている頃だろう。
本当に僕の両親は手がかかるのだ。
「わっ私着替えてくるわね」
「待て」
「シリウス?」
「そういう可愛いところを他の男に見せないでくれ」
「えぇわかったわ」
「本当か!?絶対だぞ!!」
そうしてシリウスはナマエを抱きしめ、熱いキスを送った。
ブラック家の朝は今日もこんなに愛に溢れている。
あったかもしれない日常