初恋についての独白



初恋だった。
彼の突き刺すような瞳、カラスのような髪、音楽を奏でるように紡ぐ魔法。
私は彼の全てに恋をした。


だけど彼は私の自慢の親友の幼馴染、それだけだ。
私と彼は単なる知り合いであったのに、彼が彼女を愛していることを私は知っていた。
どうしようもなく私は彼女に嫉妬した。
親友なのに。


だから、彼らが仲違いをした時にチャンスだと思った。
彼女のように綺麗で才能があって誰からも愛されるような少女でない私にとって、神様が与えたチャンスだと。
私はこれを機にセブルスへ近づいた。
彼が闇に取り憑かれていることを知っていたけれど、それでも私は諦めきれなかったから、友人としてでも彼の横にいたかった。
そしてそれと同時にリリーとジェームズがくっつくように差し向けた。
貴方達お似合いよって。


醜い醜い女の子。
グリフィンドールに似合わない、狡猾でずる賢い女の子。
それが私だ。


だからバチが当たったんだ。
リリーとジェームズが死んだ時、そう思った。
確かに彼女に嫉妬していたけれど、それでも私は彼女が大好きだったのだ。
そして同時にセブルスのリリーへの愛の深さを思い知った。
私が思っているよりもずっとずっと深く深く、彼は彼女を愛しているのだ。
いつかきっと私のものに、




そんなこと絶対にありえないのに。



罪悪感から私はリリーとジェームズの子であるハリーをそっと助け続けた。
ある時は近所の人として、ある時は小学校やホグワーツの先生として。
またある時は母親の親友として。
いつも助けてくれてありがとう、なんてハリーは言うけれど、私はそんないい人間じゃない。


ハリーを助けるたびに私の心は痛む。
セブルスを見かけるたびに私の心が泣く。




だけど、だからこそ、
今彼の前に立ちはだかったのだ。



「セブルス・スネイプ!」
「なんだナマエ・ミョウジ」
「今ここであなたを止める!」


リリーは彼を必死になって闇から救おうとした。
私は彼が闇に進むのを止めなかった。


私は絶対にリリーを越えられないけれど、やっぱり彼が好きだから。
今ここで彼と私の過去と決別するんだ。


「「エクスペリアームス!!」」


いろんな色の光が交差する。
自分には厳しいくせに、許されざる呪文を使ってこないところに彼の優しさが表れている。
思えば彼は私に少し甘かった気がする。


「それで私を止められると思っているのかね」
「それはこっちのセリフよ!セクタムセンプラ!」


まっすぐ彼に向かっていった呪文は消されてしまった。
すぐさま私はもう一度同じ呪文を唱える。
彼もまた呪文を唱えた。



視界が斜めになっていく。
驚いた彼がこちらへ走ってくるのが見えた。
あなたが傷つけたのよって少し笑ってしまいそうだ。


「ナマエ、死なないでくれ!」
「おおばかねぇセブルス」


きっと私もその大馬鹿なんだろうな。
私のために彼が泣いている。
それだけでなんだが報われる気がした。


「ハリーを守ってね...」
「あぁあぁ必ず、必ず守るから、もう喋るな!」


テキパキと治療する彼の手を握る。
すぐに握り返してくれた暖かさに涙が出た。


「ねぇ私あなたのいい友人だった?」
「当たり前だ!」


視界がもう真っ暗で、意識も朦朧としてきた。
痛みはない。
きっとセブルスが魔法をかけてくれたんだろう。
本当に不器用で優しい人だ。
そんなところも大好きだった。




さようなら、セブルス。
愛しい人よ。