■■ 汝は_蜥蜴なりや? 第01話
生徒が靴箱で賑わう30分前。
「おはよー!」
「あ、おはよー。どしたの?今日来るの早いね。」
「ウフフフフゥ…今日、三年生に転校生が来るんだって!ちょっとテンションあがっちゃってさ!!」
「へぇ、男子かな?女子かな?」
「さぁ…分からないけど、鏑木家の子らしいよ。」
「嘘!?あの鏑木家!?パパ、ファンだよ!て言うか私もファンなんだけど!!」
「だよねー!あの家はマジ神懸かってる!!あの女形の演技は素敵!酔いしれちゃうもん。詳しくは知らないんだけどね!!」
「ホントだよねー!!引き込まれるって言うの?っていうか勿体無い!!今度私詳しく教えてあげるよ!!」
「あの、少しよろしいでしょうか?」
女生徒二人が話していると後ろから凛とした声で話しかけられた。
「「はい?」」
話しかけられて振り向くとそこには可愛いと言える容姿でもあり綺麗、儚いと言える容姿のした人が立っており学校と言う場所において少々浮いてしまう服装。日本伝統の衣服。つまりは着物を着ている人がそこに居た。縫い目で柄がつながるような着物だから訪問着だろう。
見るからに高そうな着物。しかし着られている感は全くなく、凛と着こなしておりその周りだけ空気が澄んでいるような感覚に陥った。
「職員室へはどのように行ったら良いのでしょう…何分、今日転校してきたばかりで…手続きの方も家の者が行ったので、学校内の右も左も分からず。」
「あ…もしかして鏑木家の転校生ってあなた?」
「はい、本日よりお世話になります鏑木雅と申します。以後良しなに…。」
「よろしくねー。あ、職員室に用事があるんだっけ。案内してあげる。」
「ありがとうございます。」
雅と女生徒二人が職員室へと移動。
その間でも女子特有のテンションの会話が続く。
「え!?じゃぁあの女形って鏑木さんなの!?」
「えぇ、僭越ながら舞台に立たせていただきました。
あのような未熟な演技を見られていたかと思うと……お恥ずかしい。」
手を頬へ持っていき流れる様な指使いで頬をつたわせる。
ため息がつい出てきてしまったがこれもご愛嬌。
「そんなッ!すごくきれいだったよ!!」
「そう言っていただけると嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします。」
「うん!応援するよ!!
あ、もう職員室ついちゃったね。もし同じクラスだったらよろしくね!」
「はい、でもその時は私のキャラのギャップに驚かないで下さいね?」
「え?ギャップ?」
「これ…演技なんだ?」
「はい、とりあえず本来の一人称は正しくは俺、または僕です。」
「え!?」
「やっぱり!!」
「え、なんで!?てかなんでやっぱりって!?」
「あの女形は男の人がやってたのに本物の女よりも女らしいっていう事で話題になったんだよ!?それでその人の名前は雅って言う…!」
「はい、こんな成りをしていますがれっきとした日本男児でございます。」
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