■■ 汝は_蜥蜴なりや? 第13話
公園に向かって集団下校。
富布里を先頭について行くメンツ。富布里の横には誰も付いていない。
反面雅を取り囲むようにメンツは位置していた。
なんかSPみたいである。威圧感ハンパない。
止めてくれないかな。
しかし眼福かな。富布里の悔しそうな顔。チラチラと雅の方を向いて睨んでいる。
何故睨んでいるのに跡部達に気付かれていないのかというと、富布里を直視しないようにあっちこっち向いたり富布里と同じ様に雅を向いたりしているから。
そして富布里は痺れを切らしたのか方向転換し雅に近付いてきた。
しめた。
「雅ちゃ――!」
「富布里さん丁度良かった。あの…私と並んで歩いて下さいませんか?」
文句を言われる前に雅は台詞を遮った。
ちゃんと言葉には恥じらいの声を乗せて。まぁ!少女。
「え?いいよぉ!もう雅ちゃんはしょうがないなぁ。」
富布里の思惑。に雅近づき、自分の取り巻きなのよ。と言う気分になる。と言うか跡部達を侍らすのは梨子なのよ、と雅に訴える。
雅の思惑。富布里が近づくことによって、跡部達が若干距離をとる。と言うか跡部除けである。
よって、雅の計画通り。
富布里は可愛いらしさを表現するために雅の腕に絡む。
行き過ぎ友情表現とでも言うのか。百合百合してる。
可愛い子(黙っていれば)と腕を組むなんて男子にとって役得、ステータス以外のなにものでもない。
しかしまぁ、跡部達は若干距離を置きますよねって言う。
富布里を確実苦手認定しているため、雅が近くに居おうとも距離を泣く泣くとる。
そう、「闇の隙間より出でし油を纏った疾走する漆黒の悪意(別称:G)」が苦手な人間が、「三万年前より進化を放棄し姿を変えず過酷な環境を生き延びし生物(通称:G)」を見つけた瞬間に危害を加えることも出来ずジリジリと確実に距離を置くようなことである。
さながら雅は「北欧などでは家に出現すると、とても充実した家と言う象徴(字:G)」を退治する人間と言う感じなのか。
跡部達は二人を先頭に後ろについて行く姿となっていた。
思い通りにならなく顔をしかめる富布里。ざまぁである。
そんなこんなで公園に到着。
富布里が言っていたようにクレープ屋の前にはカップルがいっぱい。ピンクいオーラがそこで発せられている。
いぶし銀のオーラが来い。
そんなオーラを当てられた跡部達。
瞬間的に帰りたい、と言う表情になった。
本来なら男子っぽくゲーセン行ったらファーストフード店に行くはずだったのに、ドンマイ。
「ね、ね!ついたよぉ!いっぱいカップルが居るねぇ。並ぼ?梨子早く食べたぁい!」
「あ、あぁ…。」
雅の腕から離れ跡部にアタックなう。
上目遣いの達人と言う称号を与えたい。
跡部は逆らうことなく、富布里に腕を引かれ長蛇の列に並ぶことになった。
その後ろに並ぶ残り雅達。
「ところで雅。君はカップル限定の欲しい?」
滝が雅に質問をした。
「そう、ですね。…限定品と言うなら食べてみたいかもしれません。
私には無縁のものですから。」
今は色恋よりも稽古と遊びで忙しい。
「ぇえー?雅ちゃん彼氏居ないのぉ?」
「はい、彼氏は居ませんし…作りたいとも思いません。
そう言う富布里さんはいらっしゃるのですか?」
「梨子ぉ?梨子も居ないよぉ。この学校に来る前は居たんだけどぉ…ふられちゃって……梨子独りぼっちになっちゃったんだぁ…。」
同情を誘う富布里。
目を伏せ、肩をちょっと震わせ、跡部の腕を更にキュっと締め付け、お涙頂戴。
「独りぼっち、ですか。」
「だからぁ…みんなに甘えちゃうのかなぁ?」
「我慢するより良いことだと思いますよ。
しかし、富布里さんも下らない男に引っかかることが無いように過ごさなければいけませんね?」
「っ……はぁい。雅ちゃん姑みたぁい。」
雅の一言で嫌味大会がここに勃発。
ネチネチとネチネチと、
逃げたしたくなるメンバーだが雅から帰るんじゃねーぞオーラが発せられており、その場で耐えるしかなかった。
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